クボタ、グローバル企業として2019年売上高2兆円に再挑戦

2017年8月7日 07:47

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 クボタが3日、2017年1~6月期の業績を発表し、通期(2017年12月期)見通しの実現に向けて順調なスタートをきった。

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 クボタは1890年創業の老舗企業として日本で最初に農業機械を開発し、その後海外に進出、日本、中国、タイで稲作機械のトップシェアを握り、さらにヨーロッパ、アメリカで畑作用のトラクターに進出した。2016年までのここ15年間で、1兆円の売上高から約1兆6千億円までの増収のほとんどが海外での地道な売上増によるもので、海外比率は20%から65%まで高まってきた。ところがここ3~4年は売り上げの伸び悩み傾向が出てきて、2017年に売上高2兆円の中期経営目標は未達となっていた。

 事業領域の拡大と経営機能のグローバル化により、中期経営方針で2019年度に売上高2兆円に再挑戦するクボタの動きを見てみよう。

■2017年半期(1-6月期)実績と今期(2017年12月期)見通し
 今期売上高見通し1兆6,800億円(前年比105%)に対し、実績8460億円(同106%)で進捗率50%と順調に推移している。国内売上高の低迷を海外売上高の増収でカバーした。

 今期営業利益見通し1,980億円に対し、実績1,006億円(同95%)で進捗率51%であった。前期の円高が輸送や在庫のため今期に影響し前年比を割り込んだが、順調に推移している。

■今期(2017年12月期)から来々期(2019年12月期)3年間の経営方針
 今期売上高見通し1兆6,800億円に対し来々期2兆円(今期比119%)、今期営業利益見通し1,980億円に対し来々期2,800億円(同141%)を計画している。為替は期中1ドル110円、1ユーロ115円の水準で保守的に計画しており、次の施策を進める。

 1.新事業への挑戦により、事業領域の拡大を図る:

 170馬力大型トラクターM7シリーズの事業基盤確立、買収済みのKV社(欧州農法対応)およびGP社(米国農法対応)とクボタとのシナジー創出による農業機械事業の拡大。建機事業分野では北米小型建機市場でのトップシェアを目指す。エンジン事業部門では各国の排ガス規制に対応して世界NO.1の産業用エンジンメーカー(200馬力以下)を目指す。

 2.海外新市場の開拓:

 重点市場インドの加速、ポーランド・トルコ・メキシコ・ミャンマーなど周辺国市場の強化、南米ブラジル・アフリカケニアなど新興国市場の探索。

 3.経営機能のグローバル化:

 日本・タイ・北米・欧州の4極開発体制の構築、北米とアジアにおける現地生産の拡大、IT化の加速。

 成熟・衰退産業であった日本農業市場から世界市場に進出し、事業領域を拡大しグローバル化を推進するクボタの挑戦を今後も見守っていきたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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