人型ロボット「Pepper」、ホテルでリモートによる多言語対応 業界初

2017年7月29日 16:34

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人型ロボット「Pepper」。(写真: マイステイズ・ホテル・マネジメントの発表資料)

人型ロボット「Pepper」。(写真: マイステイズ・ホテル・マネジメントの発表資料)[写真拡大]

  • 「Pepper」による接客のイメージ。

 マイステイズ・テイズ・マネジメント(以下、マイステイズ)とソフトバンクロボティクスは28日、人型ロボット「Pepper(ペッパー)」を8月下旬よりホテルマイステイズプレミア赤坂、ホテルマイステイズプレミア浜松町、ホテルマイステイズ五反田駅前に導入することを発表した。

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 ホテルマイステイズプレミア赤坂と浜松町に導入する「Pepper」は、国内ホテル業界初のロボットによる多言語(日本語・英語・中国語)対応が可能なリモートサービスを提供する。「Pepper」はマイステイズのコールセンターと連携することで、宿泊者の質問に多言語でリアルタイムに回答することができる。

 リモートコンシェルジュサービスでは宿泊者が英語や中国語で話しかけると遠隔地にいるオペレーターに接続、オペレーターが手元の画面上にて回答を選択すると「Pepper」が音声にて回答を読み上げる。その他、観光スポット情報の案内やホテルのクーポン発行、記念撮影などにも応えていく。

 マイステイズは北海道から沖縄まで国内各地で宿泊施設の運営・管理をしている。05年より本格的にホテル事業に参入、宿泊特化型施設から総合リゾートホテルまで形態に応じた5つのブランドを展開。

 専門オペレーターによる日本語、英語、中国語、韓国語の多言語サービスはチャットやメール、電話にてこれまで提供してきた。今回はそのノウハウを生かし「Pepper」を介したサポートを新たに展開、今後はマイステイズのホテル全77棟への導入を順次実施していく予定である。

 ソフトグループ傘下で人型ロボット「Pepper」の開発・販売を手掛けるソフトバンクロボティクスは3月末時点で債務超過に陥るなど、開発費の負担が響き赤字が続いている。ソフトバンクの孫社長は開発当初より「Pepper」プロジェクトは利益度外視を表明していることから、債務超過も想定の範囲内と見る向きもある。

 ソフトバンクは6月に、世界で先進的なロボットを開発している「Boston Dynamics」と二足歩行ロボットの世界的リーダー「Schaft」を買収。ロボティクス分野を発展させ、人間との「共生」をキーワードに有用な活用方法を創造することを使命としている。スマートロボティクスを次のステージに進めるビジョンは全く揺らいでいない。

 「Pepper」も今年度に入り、空港内の自律走行実験、病院における電子カルテとの連携、ネスレと連携した「ロボカフェ」でのウェイターなど、ソフト面の適応が進んだことで「何もできない」と揶揄されていたヒト型ロボから脱皮を図ろうとしている。ソフトバンクとしては「Pepper」を材料にさまざまな実験を重ねていると見る向きもあり、次なる新型ロボットへの期待も高まる。

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