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酒は百薬の長ではない?中程度の飲酒が脳に与える悪影響、英国の研究
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過度の飲酒が有害であることについては特段の説明は必要ないだろう。だが、中程度の飲酒の効能もしくは害については、実は意外と研究が進んでおらず、確たる定説と言えるものはないとされる。しかし、英国で550人の飲酒者を対象に行われた研究で、中程度の飲酒によっても、海馬に委縮が生じるという事実が明らかになったという。
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この研究でいう中程度の飲酒とは、ワインを1週間にグラス5杯、ビールなら4パイント(1パイントは約568ミリリットル)程度の量のことである。
世に、酒は百薬の長という。中国の史書『漢書・食貨志下』にみられる言葉で、新の建国者である王莽の言葉とされる。前後は「夫れ塩は食肴の将、酒は百薬の長、嘉会の好、鉄は田農の本」。「酒は百薬の長だが、同時に万病の元でもある」という言い回しもあるが、これはずっと後世、日本の『徒然草』の中に書かれたものである。
今回紹介する研究は、酒が百薬の長かどうか、万病の元かどうかを分析する研究ではない。あくまで、「脳の構造および記憶に及ぼす影響について」に限定した研究である。とはいうものの、過度の飲酒をしている被験者において脳に深刻なダメージがあるのはもちろんのこと、中程度の飲酒者でも、まったく飲酒しない被験者に比べ、海馬に3倍の確率でダメージを受けている、ということが判明した。
王立エディンバラ病院の神経精神科医、キリアン・ウェルチ氏は、控えめに「脳の健康に関して、適度な飲酒というものを正当化することは、この研究によって少しだけ難しくなった」と、論文の論説の中でコメントしている。
公平を期するために酒飲み側の意見も一つ紹介しておこう。全ての酒飲みが、酒は薬になるというエクスキューズを使用するわけではない。「人生意を得ば 須らく歡を盡くすべし 金尊をして空しく月に對せしむる莫れ」。大意は、「人生は一度きりなのだから、楽しめる時に楽しむより他は無い。金の酒樽を月に見せてそれが何になるだろうか」。唐の詩人・李白、『将進酒』の一節である。
なお、研究の詳細は、「British Medical Journal」で発表されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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