日本古来の風習「お盆」、実際の意味は?

2017年6月30日 15:31

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盆棚のイメージ。

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 「お盆」の季節と言えば、年に数回ある大型連休という点で心が躍る人が多いかもしれない。「お盆」の正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」。諸説あるようだが、サンスクリット語で「逆さ吊り」を意味する「ウラバンナ」の音写であるとする説が有力。はたして、お盆とはどんな意味が込められているか?分かるようで、分からない。意外と正しく答えられる人は少ないようだ。

 仏壇や仏具を取り扱う貴金属の老舗「GINZA TANAKA」によると、お盆とは仏教の伝統行事で、亡くなったご先祖が自宅に帰ってくるといわれる行事とのこと。7月または8月の13日に迎え火を焚いて先祖を迎え、15日(もしくは16日)に送り火を焚いて送り出すのが一般的という。

 仏教の教えでは本来7月15日を中心にお盆としていたが、新暦(明治6年以降)になると、この時期が農業の繁忙期と重なるために、農業が盛んな地域では、ひと月遅れの8月15日を中心としてお盆を行うようになった。東京や横浜、東北地方などでは7月に、その他の地域では8月にお盆を行うのはこんな理由からだった。

 お盆には、「盆棚」という先祖を迎える祭壇を作る習わしがある。棚にはござ、まこも(邪気を払うと言われている植物で作られたござ)を敷き、中央に位牌を安置。なすやきゅうりで作った精霊(しょうりょう)馬(ま)、精進料理のお膳、そうめん、季節の野菜や果物、故人の好物などの供え物を供える。棚の左右には盆提灯を飾る。盆飾りにはお盆にご先祖が家に帰ってくることを華やかに迎え、もてなしをするという意味が込められているという。

 今年のお盆は、祝日・山の日のである8月11日(金)から16日(水)という人が多いかもしれないが、その意味を改めて知ってみれば、普段とは違った連休になるかもしれない。(記事:久保圭大郎・記事一覧を見る

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