問題解決の極意その2 〜知恵の出る人は考える回数が多い〜

2017年5月11日 11:59

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 問題解決の場面、また日常業務の場面で良い知恵が沢山出る人、知恵の出ない人がいます。その違いは『考える回数』が影響しています。知恵の出る人は考える回数が多く、知恵の出ない人は一回しか考えていません。

【前回は】問題解決の極意その1 〜対策を考えない、問題を考える〜

●営業成績が良い営業マンと成績が悪い営業マンの違い

 営業成績の悪い営業マンが見積書を作成する時、思いついた順番通りに書類を作ります。書類名も最初に思いついたもの、品名の順番も自社のコード順、書類の順番も自分が分析した順番ですべてを添付します。人にはその人の独自の思考プロセスがあり、自分にとっては分かり易いのですが、第三者にとってその順番が分かり易い保証はありません。

 思いついた順番のまま、一回しか考えない営業マンの説明は「あなた!一体何を言いたいの?」と突っ込みたくなるものです。お得意先にとっては分かり難い見積書で、賛同を得ることが出来ないものとなってしまいます。

 一方、成績の良い営業マンは思いついた順番で作成した見積書は下書きで、お得意先が分かり易いかをもう一回考え、分かり易いように順番を入れ替え、表現を見直します。例えば、品名の順番は下書きでは自社のコード順ですが、分かり易くするため、お得意先が重要と考える順番に変更します。分析資料についても結論を先に述べ、その結論を導き出した分析資料のみを添付します。当然、お得意先には分かり易い見積り提案で、賛同を得られます。

 成績の悪い営業マンは一回しか考えませんが、成績の良い営業マンは少なくとも二回以上考えます。この考える回数が大きな差を生むのです。思いついた順番と分かり易い順番は違うのです。知恵の出ない人、コミュニケーションが下手な人は共通してこのことを理解出来ていません。

●『考える回数』を多くする工夫

 知恵が出る、出ない、良い見積書を作れる、作れないは『考える回数』が影響します。知能指数、偏差値や学歴はまったく関係ありません。通常、人は書類として形になると安心してしまい、思考停止に陥ります。

 そこで、考える回数を強制的に多くする工夫をすると良いでしょう。先ずは一回考えたら二回考えよう、二回考えたら三回考えようとすることです。具体的には、一回目を一人で考えた場合二回目は同僚と二人で考えようとします。また、一回目を自分の机で考えた時二回目は会議室で、あるいは一回目は午前中であれば二回目は午後、一回目がパソコンであれば二回目はホワイトボード。このように、考える相手/人数を変える、場所を変える、時間帯を変える、考える道具を変える等すれば、この組み合せで考える回数は無数に増やすことが出来るのです。

●終わりに

 「忙しくて、考える時間がない」と嘆いている人をよく見かけますが、それは勘違いです。考える回数を増やそうとする意識を持つことが出来れば、いくらでも考えることは出来るのです。考える回数は時間ではなく、意識が左右するのです。(記事:KMAきむらマーケティング&マネジメント研究所 木村博・記事一覧を見る

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