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合同展示会「rooms」が「rooms EXPERIENCE」に、一般消費者にも開放へ
「rooms EXPERIENCE」の佐藤美加プロデューサー(右)と、同展示会のPRを手がける松井智則ワンオー社長
アッシュ・ペー・フランスは、同社が主催するファッション&デザイン合同展示会「rooms」を「rooms EXPERIENCE」に名称変更し、次回展を2017年9月6~8日に開催する。会場は、東京・五反田のTOCビル。初めて一般消費者にも開放し、同展の魅力や価値を“体感”することに重点を置く。
「rooms」は、会場として従来使用していた国立代々木競技場第一体育館(代々木体育館)が、2020年の東京五輪・パラリンピック開催に伴う耐震改修工事を行うことから、2017年2月の34回展を「ファイナル」(=最終の)と題し開催。次回展の詳細発表が待たれていた。佐藤美加プロデューサーは、「常に新しいことをしたいと考えている私にとって、代々木体育館でのファイナルを迎えたのはいい機会だったと考えている」と話す。「17年間続けるなかで、「rooms」は単なる展示会ではなく、メディアとして発信力を高めてきた。時代の先端を掴む「rooms」ならではの力を評価していただけた。「rooms EXPERIENCE」では、伝えるだけではなく、来ていただく方に体感していただくことにこだわる。紙面やインターネットを通しただけでは伝わらないこと、その場にいないとわからないことは何なのかを徹底的に考え、独創的な世界観を表現したい」という。
会場に選んだのは、1970年に建てられた東京・五反田TOC(東京卸売センター)ビルの最上13階にある展示スペース。「歴史がある分、雑多なムードが残る場所。そこをあえて「rooms」がプロデュースしたら面白いかもしれない」と興味を持ったことが決め手となった。五反田駅から徒歩で10分ほどかかるためシャトルバスも運行させるが、「駅から遠くなる分、足が遠のく方もいると思うが、お客様の特性をより明確に理解する機会になると捉えている」(佐藤氏)
「rooms EXPERIENCE」のコンセプトは、“五感共感空間”。新コンテンツを加えた5つのコーナーで構成する。(1)「ルームス プレゼンテーション(rooms PRESENTATION)」は、企業による出展コーナーで、経営者層や働く人の思いやメッセージとともに、企業の取り組みをより深く発信する。(2)物販コーナー「ルームス マーケット(rooms MARKET)」は、あえて整備されていない環境のもとでものを選んだり、買う楽しみを提供する場。タイの週末限定マーケットで、佐藤氏自身が実際に体験した猛暑の中でのショッピングがヒントになっているといい、将来的には屋外での実施も計画する。(3)「ルームス トレードショー(rooms Tradeshow)」は、主催者側のスクリーニングにより精選されたブランドが出展。「開催場所の規模が従来より小さくなる分、スクリーニングの基準はより厳しくなる。その分、よりクリエイティブで独自性の高いブランドをお見せできる」(佐藤氏)という。(4)「ルームス メイド イン ドット(rooms Made iN.)」は、これまで「地場産エリア」として展示していたもの。「各地の地場産業と取り組みながらも、どこで作られたかではなく、誰が作ったのかという点を大切にする。生産者の思いなどストーリーのある情報を伝えることで、ものづくりが次の100年まで続くお手伝いをしたい」という。
新コーナーとして、(5)「ルームス ペーパー エキシビジョン(rooms PAPER EXHIBITION)」を設ける。新聞や本、雑誌、ポスターなど紙の制作物をすべてアートとして展示し、その魅力を伝える。「「rooms」のパンフレットや出版物もアート。アーカイブとして価値があるのに、捨ててしまうのはもったいないと考えていた」と佐藤氏。「紙に実際に触れ、手に入れてもらう。紙に価値を与える試み」と話す。
また次回展で初めて、一般消費者の来場を受け付ける。(3)トレードショー以外のすべてのコーナーでBtoC向けコンテンツを取り入れるほか、(2)マーケットと(5)ペーパーエキシビジョンで物販を行う。価格は未定だが、一般消費者は入場料を支払う仕組み。「入場料をとることが目的ではなく、有料にすることで、感度の高い方々の来場を促したい」(佐藤氏)と説明。一般消費者に影響力を持つインフルエンサーも招待する予定で、参加ブランド数は、ここ数年と同様の約500社を計画するが、来場者数は、1.5倍の3万人を目指す。コンテンツの分化や、地方・海外への進出も視野に入れながら、3年後の2020年には、参加ブランド数を約1,000社、来場者数を5万人に拡大させる計画だ。海外バイヤーも含め、積極的に集客プロモーションを行う。
同展のPRを手がける松井智則ワンオー社長は、「rooms」の海外進出について、「ソウルや上海、バンコクなど、ワンオーがショールームを持つ都市での開催や、カンボジア、ミャンマー、ラオス、ベトナムを含むASEANでの開催を検討している」とコメント。「ファッションに特化した「PR01.トレードショー」と切り分けたことで、「rooms」は、日本の文化をより打ち出しやすくなった。日本の文化とは、いわゆる伝統文化やアニメだけではなく、海外文化の影響も含め、それらが混在した状態を受け入れる感性のこと。それを体現している「rooms」をパッケージ化して出すことで、日本を体感してもらいたい。現地ブランドが出展したり、日本でプレゼンテーションができるような取り組みも併せて行いたい」と話す。
地方での開催について、「各地から人が集まるようなものにしたい。準備が整えばすぐにでもやりたい」と話す佐藤氏。海外への進出についても、「欧米はエシカルなど思考を重視する時代に入ったが、アジアは街づくりを含め可能性を秘めている点でやりがいがある。売ることを優先するのではなく、まずは、「rooms」の文化が根付くような取り組みをしたい」と語った。BtoCコンテンツについても、「アイディアがどんどん広がっている。飲食にも興味があり、例えば、「富士そば」と取り組んでみるのも面白い。立ち食いスタイルやスピーディーなオペレーションはとてもクリエイティブ。まさに日本の文化」といい、今後の事業拡大に意欲を見せた。
(アパレルウェブ編集部)
※この記事はアパレルウェブより提供を受けて配信しています。
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