ブリューゲル「バベルの塔」展が東京&大阪で開催

2017年4月6日 15:20

印刷

記事提供元:ファッションプレス

 ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展が、東京都美術館で開催される。期間は2017年4月18日(火)から7月2日(日)まで。なお、大阪・国立国際美術館では2017年7月18日(火)から10月15日(日)に開催される。

 16世紀のフランドル絵画の巨匠、ピーテル・ブリューゲル1世。現存する油彩の真作が世界に40点ほどしかないと言われ、日本での公開が最も難しい画家の1人でもある。そのなかでも、代表作のひとつと名高いのが、今回の目玉となる「バベルの塔」。24年ぶりの来日だ。

本展では、なぜこの傑作が生まれたのか、そしてブリューゲルがどのようにしてこの傑作を描いたのかなど、多角的に「バベルの塔」を紐解いていく。また、彼に影響を与えた奇想の画家ヒエロニムス・ボスの貴重な油彩2点も初来日。同時代の絵画や彫刻など約90点で、ブリューゲルと16世紀フランドル絵画の魅惑の世界を繰り広げる。

■「バベルの塔」はなぜ“傑作”なのか

 「バベルの塔」の傑作の秘密。それは、凝縮された壮大なスケールと驚異の細部。他の画家による14〜15世紀の「バベルの塔」の作例が数階建ての塔を建設する人々を描くのに対し、ブリューゲルは地平線まで見渡すパノラマを背景に、巨大な塔を画面一杯に配置。卓抜した想像力によって、かつて誰も思いつかなかった壮大なスケールで描くことに成功した。

また、そこには米粒ほどの大きさで実に細かく描かれた人々の姿が。その数はおよそ1,400人。割れたレンガ屑の飛び散った様子や、作業員たちが休む飯場など、ブリューゲルが想像力をめぐらせて建設現場の細部を描き込んだことが分かる。

■どうして“傑作”を生み出せたのか

 伝説の塔を前例にないかたちで描いたブリューゲルには、2つの重要な能力が備わっている。本展では、その能力を感じさせる作品も紹介する。まずひとつに、鋭い観察眼と写実性。彼は、聖書の物語だけでなく、農村で働く村人や祭りの様子なども積極的に描き、晩年は“農民のブリューゲル”とも称された。「アントウェルペンのシント・ヨーリス門前のスケート滑り」などの作品には16世紀の人々の風俗が詳細に描かれ、働く人のリアリティが写し出されている。また、彼は風景画の名手であったとも言える。「野ウサギ狩り」などでは、遥か遠くを見渡すような広大なパノラマ背景を描く技術を発揮している。なお、このような構図はブリューゲル以前のヒエロニムス・ボスやヨアヒム・パティニールらの伝統を受け継いだものだ。

■奇想の画家ヒエロニムス・ボスの傑作2点が初来日

 奇想天外な空想に溢れる画風で、16世紀ネーデルラント画壇に一大旋風を巻き起こしたといわれるヒエロニムス・ボス。その強烈な個性は21世紀になった今でも人々の注目を集める存在だ。本展では、世界に約25点という希少な現存作品のうち「放浪者(行商人)」と「聖クリストフォロス」の2点が初来日する。「放浪者(行商人)」は、行商の旅人を描いた油彩画。背後の家には抱き合う男女や小用を済ます男が描かれている。旅人はここに立ち寄ったことを後悔しているのか、ただ通り過ぎようとしているのか……。誘惑に揺れる人間が迫られる、人生の選択を描いた1枚である。一方、「聖クリストフォロス」はキリストを背に乗せて川を渡ったという聖人、聖クリストフォロスの物語を描いた作品。猟師に吊された熊、廃虚と怪物など、彼ならではの謎めいたモチーフが散りばめられている。

■「ボス・リバイバル」旋風

 ボスの死後もその作品の人気は衰えることなく、数多くの作家が模倣作品を描いている。もちろんブリューゲルもそのひとり。「大きな魚は小さな魚を食う」は、その代表作として知られる。ネーデルラントのことわざを版画化した本作には、足の生えた魚や空を飛ぶ魚など“ボスモチーフ”が至るところに現れる。さらに、版元によって「ヒエロニムス・ボスの構想による」と書き添えられている。

■開催概要

 ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展16世紀ネーデルラントの至宝 ― ボスを超えて ―■東京会期:2017年4月18日(火)~7月2日(日)会場:東京都美術館 企画展示室住所:東京都台東区上野公園8-36開室時間:9:30~17:30※金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)。休室日:月曜日※ただし5月1日(月)は開室。■チケット情報価格:一般 1,600(1,400)円、大学生・専門学校生 1,300(1,100)円、高校生 800(600)円、65歳以上 1,000(800)円※()内は前売券・20名以上の団体券。※前売券は2017年1月11日(水)~4月17日(月)で販売。※中学生以下は無料。※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳持参者と付き添い(1名まで)は無料。※4/19(水)、5/17(水)、6/21(水)はシルバーデーにより65歳以上無料。※毎月第3土・翌日曜日は家族ふれあいの日とし、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住、2名まで)は一般当日料金の半額(いずれも証明できるもの提示)。■大阪会期:2017年7月18日(火)~10月15日(日)会場:国立国際美術館 住所:大阪市北区中之島4-2-55 開館時間:10:00~17:00※金曜日は19:00まで(入場は閉館の30分前まで)。休館日:月曜日※ただし9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館■チケット情報価格:一般 1,500(1,300)円、大学生 1,200(1,000)円、高校生 600(500)円※()内は前売券・20名以上の団体券。※前売券は2017年5月15日(月)~2017年7月17日(月・祝)で販売。※中学生以下は無料。※心身に障害のある方とその付添者1名は無料(要証明書)※本料金で同時開催のコレクション展も観覧可能。【問い合わせ先】・東京TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)・大阪TEL:06-6447-4680(国立国際美術館)

※本記事はファッションプレスニュースから配信されたものです。ファッションプレスでは、ブランド、デザイナー情報、歴史などファッション業界の情報をお届けしています。

関連キーワード

関連記事