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合奏のテンポが早くなってしまう要因を東大研究チームが解明
東大の研究チームが、音楽の合奏時にテンポが無意識に早くなる「テンポが走る」現象の原因を解明。安定したテンポで演奏するための練習方法の開発につながり、演奏技術の向上に期待されている。[写真拡大]
音楽活動をしている方はもちろん、学生時代の音楽の授業や合唱などで、テンポが知らず知らずのうちに早くなってしまうという現象を経験したことがある方は少なくないだろう。この「テンポが走る」という現象の原因を東大の研究チームが解明した。
まずチームでは、一定のリズムを保つタッピングさせる課題を被験者に課し、ソロ、ペアの2通りで実験を行なった。最初はメトロノームを使って同調させ、途中からメトロノームを停止してどのようにテンポが変わるかを検討。
ソロの場合はテンポが遅れたり、早くなったり、さまざまなパターンが見られた。一方ペアでは80%以上の試行で、徐々にテンポが速くなったという実験結果が出た。ペアで参加者がお互いのタップ間隔の差に基づいて自分の次のタップ感覚を調整する。その結果タップの感覚の短縮、つまりテンポが早くなる傾向があることがわかった。
テンポが早い人が一方的にリードするというよりは、お互いのタップのうちで無意識に早い方に優先的にテンポを合わせる、時間的に非対称な調整が発生する。お互いにテンポが早い方に修正していくという現象が繰り返されることによって、テンポが速くなってしまうということだ。
これまでこうしたテンポが走るという現象は、緊張や高揚といった生理・心理的な要素が原因だと考えられてきたが、今回の研究で「パートナー間のタイミング調整」という、合奏の演奏形態そのものがもつ外的環境が関係していることが示唆されるということがわかった。
こうした外的環境が音楽演奏に与える影響を検討した研究事例はまだ少ない。同チームでは今今後ペアごと、個人ごとの速くなりやすさの差を決める要因や、生理・心理的要因との相互作用について詳しく研究することで、安定したテンポで演奏するための練習方法を開発し、音楽の演奏技能の向上に貢献できるとしている。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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