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企業向け「ネット炎上保険」が日本初登場、過去の炎上事例は?
総務省の調査によれば、SNS(ツイッター、フェイスブックなど)を発生源とした炎上は2010年頃から増え始め、2013年に爆発的増殖が起こったという。[写真拡大]
損害保険ジャパン日本興亜は、スマートフォンやSNSの普及によって個人だけではなく企業にとっても大きな問題となりつつある「ネット炎上」に備えるための保険を開発、販売を開始した。業種などの制約がない、企業全般が一般加入可能なネット炎上対応の保険は、国内で初めてだという。
インターネットの爆発的な普及に伴い、情報の相互的発信が容易になった結果として、個人・法人のいかんを問わず、炎上に巻き込まれるケースは多発している。しかし炎上と一口にいっても原因も適切な対処法も様々であり、予防は困難だ。
そこで、「炎上はどれだけ気を付けていても起こるときは起こるものだ」という前提のもと、その被害を最小限に抑える対応をサポートするとともに、その費用を補償する保険『ネット炎上対応費用保険』が誕生することとなったわけである。
観念的な話に終始するのもなんであるので、実際の企業のネット炎上の事例をいくつか見てみよう。
まず、もっとも一般的な、「従業員の不適切な行動が原因となった事例」。
■コンビニアイス冷蔵庫事件
2013年、ローソンの加盟店で、従業員がコンビニアイスの販売ケースの中に入って写真を撮影、これが爆発的に拡散して、ローソン本社が謝罪の上、当該店舗が契約解除となったもの。企業のネット炎上の国内事例としては最も有名なもののひとつ。その上、これを模倣した事件が他社でも相次いだことでも知られる。
次に、「企業側の不適切な対応が火に油を注いだ事例」。
■ベネッセ個人情報流出事件
2014年、通信教育大手ベネッセが管理する個人情報、推定約3,500万件が流出。これだけでも十分に炎上沙汰であったが、同社が「お詫びとして、金券500円分を配布する」としたため、その対応が怒りを買って大炎上へと至った。最終的に、取締役2名が辞任、顧客減少により経営が赤字転落、という結末に至っている。
さらに、「企業トップの行為が引き金となっている事例」。
■ワタミ社員過労自殺事件
2008年、ワタミの子会社に勤務していた26歳の女性社員が過労を原因に自殺。2012年、労災認定が下ったが、ワタミの渡邉美樹会長(当時)が自身のツイッター上でこの認定を批判、適切な労務管理を行っていたなどの主張をしたため炎上が発生。この事件を巡り、まず遺族が起こした訴訟においてはワタミがほぼ全面敗訴、請求1億5,300万円に対し1億3,355万円を支払って和解が成立。そしてかつてはそれなりに「日本の居酒屋チェーンの顔」であった和民のブランドイメージは地に墜ち、当然ながら業績は大下落、復権の道は険しいものとなっている。
最後に、「事件の直接の原因が客などの側にある事例」。
■餃子店全裸写真事件
2013年、ある餃子チェーンのとある店舗で、近所のボーイズバーの店員らが全裸で店に押しかけ、店員に強要する形で強引に自撮り写真の撮影に及んだ上、その画像を公開。チェーンを運営する企業が謝罪し、店の閉店を決めるという騒動になった。ちなみに当該の客のうち数人は後日逮捕されている。
かように、ネット炎上というものは多様であり、いったいどうすればこんな事態を防げるというのか、頭を抱えてしまうようなものも事例を見ていくと多々ある。転ばぬ先の保険、とはよく言ったものである。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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