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文科省天下り問題、今後の焦点は
文部科学省からの組織的な天下り(再就職)あっせん問題が連日国会で追及されているが、衆院予算委員会では3日午前、平成29年度予算案に関する3日目の基本的質疑が行われた。この日の焦点は文科省の天下り問題。松野博一文部科学相は、この問題に関し、調査結果の一部を今月6日に公表する方針を明らかにしている。
松野文科相は外部有識者の弁護士を含む調査班を設置すると説明。「6日の昼ごろには第1弾として文教フォーラムとの関係などを整理したものを公表したい」としている。7日の衆院予算委員会は引責辞任した前川喜平前事務次官を参考人として招致し天下り問題に関する集中審議を行うとした。
■行政のゆがみ究明を
これまでに浮かび上がった実態や問題点は何か。安倍政権は2007年に国家公務員法改定で天下りを原則自由化とする一方で、省庁のあっせん行為、在職中の求職活動などは禁止行為としている。退任後2カ月で早稲田大学に天下りしたとされる吉田大輔元高等教育局長は、文科省人事課を通じ在職中に早稲田大に再就職するため履歴書を提出したとされている。
国家公務員法に違反するケースとなっているこの件に関して、松野文科相は「再就職の規制の理解が不十分で関連法令の順守の意識が不足していた」と弁明している。しかし、内閣府再就職等監視委員会の調査に対して、文科省は早稲田大学に口裏を合わせてごまかそうとしていたのではとの疑念も持たれている。
違法と認識し早稲田大もなぜ受け入れたのか、文科省は違法と知りながらなぜあっせんしていたのかなどの解明はこれからとなる。松野文科相は、全容解明に向け調査班に外部有識者として弁護士ら4人を加える、と述べている。
■新たに4人の調査員を加える
調査班に新たに加わるのは、水地啓子弁護士、山田秀雄弁護士、杉山忠昭・花王執行役員、原田久・立教大副総長の4人だ。水地、山田両弁護士は日本弁護士連合会副会長を歴任。杉山氏は企業法務に精通し原田氏は行政学が専門という。これで調査班は当初の9人から、途中で追加された12人に今回の4人を加えると25人へ拡充されることになる。
今後、外部有識者の意見を聴き調査班は今後、調査計画を作成し大学などへ再就職したOB全員や現役職員へのヒアリングを進め、3月末までに調査結果をとりまとめ「調査の公平性を確保し、信頼回復に努めたい」と松野文科相は述べた。
これとは別に、大学からの求人情報を文科省人事課がOBに流し、同課OBが天下りの仲介役を務める「OBルート」が作られていたのではとの疑惑も浮上している。このOBは、一般社団法人「文教フォーラム」の理事長の肩書を持ち、公益財団法人「文教協会」の分室的な位置付けとして、事務所賃料(年間約300万円)は文教協会が負担していた事がわかっている。
文科省は、国立大への運営費交付金や私立大への経常費補助などを出す側の立場だが、天下りそのものを禁止する抜本的な見直しに踏み込めるかが今後の焦点となっている。(記事:マーヴェリック・記事一覧を見る)
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