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拡大する世界のスキャナー市場、日本の技術で信頼性向上とコスト削減
ロームが開発したモータドライバIC「BD6415EFV」。アナログ設計技術に新開発のセンサレス駆動ロジックを組み合せ、センサレスで業界最高クラスの高精度回転を実現。[写真拡大]
近年、レーザースキャナーの活用範囲が広がっている。アメリカの調査会社Global Market Insights Inc.(グローバル・マーケット・インサイツ)は、世界の3Dスキャナー市場が2022年までに60億ドルに達すると予測している。その中でも最もシェアが大きいのがレーザースキャナーだ。
レーザースキャナーといえば、一般的に真っ先に頭に思い浮かぶのは、レーザープリンタ(LBP)や複合機(MFP)ではないだろうか。しかし、身近なところでは、スーパーなどのレジなどで使われるバーコードリーダや医療機器類にもレーザースキャナーの技術は欠かせない。また、産業分野や航空宇宙産業などにも活用は広がっており、地上型3Dレーザーや航空レーザーの他、最近では、自動車の自動運転技術の開発などを背景にMMS(モバイルマッピングシステム)への注目も高まっている。
レーザースキャナーは、スキャナーから照射されたレーザーを回転する鏡に反射させ、対象物の情報を取得する。その際、回転を制御するモータの精度が低いと読み取りや印字が不正確になるため、モータには超高速・高精度回転が求められる。その為、レーザースキャナーに用いられるブラシレスDCモータの駆動には、モータの位置検出のためにホールセンサが使用されるのがこれまで常識であった。しかしその一方で、取り付け工程削減、部品点数削減による信頼性向上、コスト削減などの面からセンサレス化を求める声も多かった。
そんな中、電子部品メーカーのローム株式会社が、同社のアナログ設計技術に新開発のセンサレス駆動ロジックを組み合せた、センサレスで業界最高クラスの高精度回転を実現するモータドライバIC「BD6415EFV」を発表した。
同製品は、業界最高クラスの高速回転50,000rpmを実現しながら、同社従来比で約50分の1となる回転ジッタ(1回転毎の時間ばらつき=回転精度)0.005%未満を達成。モータアプリケーションの部品点数削減と高信頼化に貢献する。また、大規模ロジック回路と不揮発メモリを搭載しており、メモリデータを書き換えることで、ニーズに応じてICの特性を簡単に調整できるという。これまでは、特定のモータしか駆動できないカスタム品であった為、特性変更には約半年ほどかかっていたが、今回の製品はそれが1週間程度で対応可能になり、幅広い特性のモータを駆動することが可能な優れものだという。
同社では、この技術を応用し、レーザースキャナー用だけでなく、モータを必要とする様々なアプリケーションにも拡販を進めていくとしており、スキャナー市場のみならず、モータ市場でも今後注目されていきそうだ。(編集担当:石井絢子)
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