卵アレルギー、離乳期早期からのゆで卵摂取で8割減、予防に効果か

2016年12月10日 12:23

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研究実施手順(写真:国立成育医療研究センター発表資料より)

研究実施手順(写真:国立成育医療研究センター発表資料より)[写真拡大]

 国立成育医療研究センターらの研究グループは9日、生後6ヶ月から固ゆで卵を少量ずつ摂取させることで、子どもの食物アレルギーの中でもっとも頻度の高い鶏卵アレルギーを8割予防できることが確認できた発表した。

 日本では3歳児の5.8%が医師の指示で鶏卵摂取を制限されている。研究では、食物アレルギーを高頻度に発症することの知られている生後4ヶ月までにアトピー性皮膚炎を発症した乳児を対象に、生後6ヶ月からランダムに選別して開始。

 研究者の主観やバイアスを避けるため、予め「離乳早期から卵を摂取すると卵アレルギーが予防できるかもしれない」という仮説や研究方法、評価項目をインターネット上で公開して実施するという、厳密にコントロールされたランダム化比較試験により行われた。

 結果、生後6ヶ月より固ゆで卵を与えたグループは与えなかったグループに比べ1歳時の鶏卵アレルギーの発症が約8割減少、予想を超える大差により、「早期摂取した方が発症を予防できるという仮説」が実証されたとしている。研究では少量(50mg)の固ゆで卵粉末とかぼちゃ粉末より開始したため、安全に実施できたという。

 研究グループは、今回の結果は診療ガイドラインや生活指導にすぐに応用可能だとしている。

 なお、同センターでは、この研究は発症予防効果を検討したもので、すでに鶏卵アレルギーと診断されている乳児の鶏卵摂取を判断する研究ではないとし、予防を目的とした実際の鶏卵摂取では、卵の加熱が不十分だと抗原性が高くなり危険であることから必ずアレルギー専門医に相談することが必要と強く注意を促している。(記事:阪木朱玲・記事一覧を見る

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