NYの視点:米大統領候補討論会に備える

2016年9月27日 07:21

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記事提供元:フィスコ


*07:21JST NYの視点:米大統領候補討論会に備える

共和党と民主党の各大統領候補が第1回目のTV討論会を開催する。過去の選挙からも、第1回目の討論会が今後の選挙戦の基調をつくる傾向があるため、注目される。シテイグループは今週末のレポートの中で、トランプ氏が大統領選挙で勝利する確率を従来の35%から40%へ引きあげ。しかし、基本的なシナリオとしては依然、クリントン氏の勝利を見込んでいるようだ。ただ、エコノミストが大統領選挙の結果による市場への影響を予想するのは非常に困難とされる。

民主党候補のクリントン氏は、政策の中で、オバマ米大統領の方針を受け継ぐと見られる。ウォ—ル街の規制を強化する方針で、財政の拡大を抑制させると見られている。一方、共和党候補のトランプ氏は、経済拡大を最優先課題とした大幅減税を軸とし、安全保障の強化で防衛費の拡大などを訴えており、財政の拡大が警戒されている。また、クリントン氏が強化を訴えている金融規制ドッドフランク法を取り除くなど、規制緩和で中小企業を支援すると主張している。

トランプ氏はこれまでの発言で、中国に対しては通貨操作国として認定すると主張しているほか、移民問題では「米国の雇用を吸い上げ、移民流入を防ぐ国境の壁の建設費を払うことになる」と訴えている。この結果、メキシコペソが対ドルで過去最安値を更新。トランプ氏の保護主義的な方針は、国内消費を弱めドルの圧力となるとの見方がある。しかし、トランプ氏は同時に「選挙を控えて金利を低水準に抑えている」と連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長を非難。トランプ大統領の誕生で、米国の金利の上昇とドル高を予想する見方もある。

現状で予想されているシナリオの中で、クリントン大統領のもと、上下院を共和党が占めるというシナリオが35%と最も確率が高いと見られている。その次がクリントン大統領で、上院を民主党が占め、下院を共和党が占めるというシナリオで24%を占める。トランプ大統領のもと、上下院を共和党が占めるというシナリオは18%で3位。世論調査の結果で、トランプ氏がクリントン氏を追い上げているものの、依然クリントン氏が勝利する確率が高いと見られているようだ。

*シナリオ
大統領/上院/下院
クリントン大統領/共和党/共和党:35%
クリントン大統領/民主党/共和党:24%
トランプ大統領/共和党/共和党:18%
トランプ大統領/民主党/共和党:12%

本日の討論会で不透明感が払拭する可能性は少ない。大統領選挙への不透明感は当面くすぶり、ドルや株式相場をしばらく圧迫する可能性が強い。《NO》

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