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不妊経験者で治療するのは約5割―学歴・職業的地位の高い人ほど治療求める傾向
女性の社会進出に伴い晩婚化が進む先進国では不妊の問題が深刻化している。7月1日発行の医学誌「Hum Reprod」(電子版)には、英国において女性の約8人に1人(女性の13%)、男性の約10人に1人(10%)に不妊の経験があるとの調査結果が発表された。同調査では英国在住の16~74歳の男女1万5162人に不妊経験の有無を聞いた。さらには、不妊経験のある人のなかで不妊治療を受けようとしたことがあるのは女性で57%、男性で53%のみとなり、不妊治療を受けようとしたことがある人の特徴として「高学歴」「職業的地位の高さ」といった傾向が示されたという。
不妊カップルの増加は日本でも社会問題となっている。ファミワンによる調査では体外受精件数は増加の一途をたどり、2013年の治療実施回数は約36万回、出生数は約4.2万人にも及んだという。同社が妊娠経験のある女性300名に行った調査では、妊娠活動(妊活)を開始した年齢は平均28.1歳、妊活期間は平均18.8か月、合計費用59.4万円となっているのに対し、体外・顕微授精を行った女性では妊活開始が平均30.6歳、妊活期間平均32か月と長くなり、合計費用の平均も151.8万円と跳ね上がっている。体外受精の1回の費用は30万~50万円程度とされ、国民健康保険の対象外となっている。
こうした現状を受け、日本においては04年度より不妊治療への助成制度を導入。今年にはこれが大きく変更されている。変更では助成限度額(1回15万円)を初回の治療に限って30万円に引き上げられたほか、従来年2回までだった回数制限はなくなった。一方年齢制限が設けられ、治療開始時の女性の年齢が43歳以上は対象外となったほか、助成を受けられる通算回数の上限も、従来全年齢で10回だったのに対して、治療開始時に40歳未満で6回、40~42歳で3回となった。
独自の助成制度を設けている自治体もあり、滋賀県では子どもを望むがん患者に対して、治療前に卵子や精子を採取し凍結保存する費用を助成しているほか、長野県や宮崎県では不育症(流産や死産を繰り返す)の治療費を助成している。東京都文京区では男性不妊の検査費用を助成している。
30代では妊娠率26%、出産率20%だったのが40歳では妊娠率が14%、出産率は8%まで低下するのに対し、不妊治療を受けている女性の約40%が40歳以上という現実があり、出産のためのライフプランがイメージできるような啓発を早い段階から男女に促す必要があると考えらる。(編集担当:久保田雄城)
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