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成人の8割を占める歯周病。一生涯、自分の歯で暮らすために今しておくべきこと
世界で最も患者数の多い病気をご存じだろうか。癌や糖尿病など、深刻な病気は数あるが、現代人を悩ませる最も患者数の多い病気は歯周病だ。[写真拡大]
世界で最も患者数の多い病気をご存じだろうか。癌や糖尿病など、深刻な病気は数あるが、現代人を悩ませる最も患者数の多い病気は歯周病だ。先進国の成人5人に4人は歯周病といわれている。
歯周病は口臭や炎症、歯茎の減退、さらには歯が抜け落ちるなどの症状に発展する。日本人の65歳から74歳の約40%が入れ歯を使用していると言われているが、歯を失うのは老化現象ではなく、大半が歯周病によるものだという。しかも、歯周病の恐ろしさは口の中だけにとどまらない。例えば、糖尿病や心臓血管疾患、骨粗しょう症、肺炎などは歯周病によって発症リスクが高まることが指摘されている。また、最近の研究では、歯周病は認知症とも関係性があり、痴呆が進行する一つの原因であることが分かってきたという。
歯周病の原因は、歯垢と歯石。とくに歯石は細菌の住みかになるので要注意だ。歯石は、その名のとおり、歯の周りにつく石のような物質だ。その成分のもとは、プラークと呼ばれる、細菌の塊。そのプラークが唾液の中のカルシウムやリンなどのミネラル成分と結合し、固まってしまったものが歯石だ。歯石ができると、そこに細菌が繁殖し、毒素を放出する。これが歯茎の炎症や、口腔内の骨を溶かすことで歯周病を招く。
歯磨きやシャンプー・洗剤・薬品の製造販売大手のライオン株式会社なども、予防歯科の分野に力を入れており、歯ブラシだけでなく、デンタルフロスやデンタルリンスの使用を呼び掛けている。
また、ミツバチ産品の製造販売で知られる山田養蜂場は、福岡医療短期大学歯科衛生学科の日高三郎教授との共同研究によって、ハチミツに歯石の蓄積を予防(抗石灰化作用)する可能性があることを明らかにして注目されている。
同研究では、歯石が形成される条件を試験管内で再現する「pH低落法」を独自に考案して、蜂蜜の効果を調査した。試験に用いた蜂蜜は、日本だけでなく、世界各国のハチミツを用い、しかも蜜源植物もニセアカシア、ローズマリー、クローバー、ユーカリ、ペパーミント、ラスベリーなど多種多様な蜂蜜を使用。比較対照として、一般的な歯磨き剤に添加されている抗歯石剤のエチドロン酸を加えた測定も行い、蜂蜜の歯石予防効果と比較した。その結果、甘露、ローズマリー、ペーターソンカース、ユーカリ、ラベンダー、ベニバナ、ペパーミント、コーヒー、レンゲ、百花の10種類に、歯石のもととなるハイドロキシアパタイトの形成を抑える効果があることが明らかになったという。
今後は、歯磨き剤やマウスウォッシュへの応用も期待されており、近い将来、ハチミツ配合の予防歯科製品が店頭に並ぶこともあるのではないだろうか。
一生涯、自分の歯で美味しく食事をしたいというのは万人の願いだろう。日々の歯磨きももちろん重要だが、これからは予防歯科にも関心を持ちたいものだ。(編集担当:松田渡)
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