東大など、睡眠不足でも脳への刺激で記憶力がアップ

2016年5月27日 11:46

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マウスの記憶定着イメージ図(理化学研究所発表資料より)

マウスの記憶定着イメージ図(理化学研究所発表資料より)[写真拡大]

 理研、名古屋大学、東京大学の共同研究グループは26日、睡眠不足時に大脳新皮質に刺激を与えると記憶力が向上することを発見したと発表した。

 睡眠には、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム催眠)があり、眠りにつくと、まずノンレム睡眠が現れ、次にレム睡眠へ移行する。約90分周期で1晩に4~5回、繰り返される。このような睡眠には、起きているときの知覚体験を記憶として定着させる機能がある。

 この機能は、睡眠時の脳内の内因的な情報により知覚記憶が定着すると考えられている。しかし、具体的にどの脳回路が知覚記憶の定着に関与するかは不明だった。今回、共同研究グループは、マウスによる動物実験で学習直後の断眠時に大脳新皮質を再活性化させることで、睡眠不足であっても知覚記憶を向上させられることを証明した。

 知覚記憶を定着させるには、睡眠不足の状態であっても記憶力の低下を脳刺激によって補えることが分かった。今後は、さらに臨床に適用できるように改良することで、睡眠障害による記憶障害の治療方法の開発に応用できるという。(記事:阪木朱玲・記事一覧を見る

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