米ロサンゼルス市警、iPhone 5sのロック解除に成功していた

2016年5月7日 21:32

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記事提供元:スラド

米国・ロサンゼルス市警(LAPD)が3月、殺人事件の被害者が使用していたiPhone 5sのロック解除に成功していたことが裁判記録から明らかになったそうだ(Los Angeles Timesの記事MacRumorsの記事9to5Macの記事Softpediaの記事)。

この裁判はテレビドラマ「The Shield」の警官役などで知られる俳優のMichael Jace被告が2014年に自宅で妻を射殺したとして起訴されているもの。2人は直前までテキストメッセージで議論していたとみられていたが、妻のiPhoneはパスコードでロックされていたため操作の妨げになっていたという。

2015年にはAppleの技術者に対し、データ抽出に協力するよう裁判所命令が出されていたが、試みは失敗したようだ。1月下旬に捜査官はロサンゼルス郡地方検察局とともにデータ抽出を試みたが、抽出できたのはSIMカードに保存されていたデータのみで、iPhoneは無効化されていたという。翌月に再びiPhoneの調査を行った際には、起動することもできない状態になっていたとのこと。

しかし捜査令状によれば、LAPDでは3月になってiPhone 5sのセキュリティ機能を「オーバーライド」し、内容の調査を可能にする携帯電話のフォレンジック専門家を見つけたという。捜査令状の日付は3月18日。FBIがiPhone 5cのロック解除方法が判明した可能性があるとして、裁判所にヒアリングの延期を求めた3月22日よりも早い日付となっている。本件のiPhone 5sでは暗号化に使用するUIDがA7チップ上のSecure Enclaveに焼き付けられており、ロック解除はiPhone 5cより難しいと考えられている。

なお、実際にロック解除した方法や専門家の名前、iOSバージョンなどについては、記載されていないとのことだ。 スラドのコメントを読む | アップルセクション | 犯罪 | セキュリティ | 法廷 | 暗号 | アメリカ合衆国 | iPhone

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