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韓国で多数の死傷者が出ていた「謎の肺疾患」の原因となった加湿器殺菌剤
韓国で加湿器殺菌剤による肺疾患問題が話題になっている。経緯についてはハフィントンポストの記事が詳しいが、原因となったのはPHMG(ポリヘキサメチレングアニジン)やPGH(塩化エトキシエチルグアニジン)という物質だ。この物質は殺菌剤や洗剤などとして使われており、人体の皮膚への毒性は比較的少ないとされていた。問題となった殺菌剤は加湿器内に入れて殺菌を行うものだが、これによって殺菌剤が室内に散布され、これを吸入することで肺疾患が発生するという。
2000年代初頭よりこの殺菌剤は広く使われるようになったようだが、その後2011年の大規模調査で肺疾患を引き起こす危険性が明らかになり、その後製品は販売中止となった。被害者団体によると、これによる死傷者は1500人を超えるという(産経新聞)。
2011年に危険性が判明したものの、これに対する公的な調査は進んでおらず、昨年秋にやっと検察による捜査が本格化したという(NHK)。また、殺菌剤メーカーの1つであるレキットベンキーザーの依頼でソウル大学の研究チームが一般マウスと妊娠したマウスを使ってPHMGの影響を調査したところ、「妊娠したマウスの胎児は、15匹中13匹が死亡した」などの結果が得られたそうだが、レキットベンキーザーはこの報告を受け取らず、一般のマウスを使った「加湿器殺菌剤と肺疾患の因果関係は明確ではない」との研究結果のみを受け取り、これを検察に提出していたという。同社はソウル大学や湖西大学に数百~数千万円の資金提供を行っていたほか、教授ら個人へも数百万円の資金を提供していたそうだ(ハフィントンポストの別記事)。
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