15年度のコンプライアンス違反企業の倒産は過去最高の289件

2016年4月11日 10:48

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記事提供元:エコノミックニュース

 2015年度は、企業コンプライアンスの問題が数多く取り沙汰された。東芝グループの不適切な会計処理が発覚し、国内有数の企業グループの根幹を揺るがすほどの事件に発展。また、これをきっかけに監査法人の会計監査体制にも批判が及んだ。このほか、東洋ゴムによる相次ぐ性能偽装や、旭化成建材の事件に端を発したくい打ち工事の偽装事件など、大企業のコンプライアンス問題が大きくクローズアップされた。

 一方で、近年の景気回復基調に伴って増加する仕事量に対し、資金繰りや社内体制強化が追い付かなくなる中小企業も多い傾向にあり、粉飾決算や融通手形、循環取引、不透明な資金操作、詐欺などの法令違反が相次いで明るみに出ている。

 帝国データバンクでは、「粉飾決算」や「業法違反」、「脱税」などのコンプライアンス違反が取材により判明した企業の倒産を「コンプライアンス違反倒産」と定義。2015年度(2015年4月~2016年3月)の倒産(法的整理のみ)について分析した。

 それによると、ビコンプライアンス違反が判明した企業の倒産は、2015年度で289件。2014年度からは32.0%の大幅増となり、過去最多を更新した。リーマン・ショック後の倒産が落ち着き始めた2010 年度以降、6年連続で増加している。

 景気が回復基調を示すようになり、活発になってきた企業活動に連動するかのように、コンプライアンス違反倒産もこれまで増加してきた。2015年度は、これまでの景気回復に失速感がみられ、東京都では企業倒産がこの半年間増加しており、これまでカネ余りとも揶揄される経済状況の中で糊塗されていた不正が、ここに来て明るみに出るケースが数多く発生したとしている。

 2015年度のコンプライアンス違反倒産を違反の類型別に分析すると、最も多かったのは不正経理や循環取引、融通手形などで決算数値を過大に見せる「粉飾」で、85件(構成比29.4%)が判明している。過去最多となった前年度と比べると 2.3%の減少となったものの、依然80件台の高水準が続いている。複数の融手グループの経営破綻が相次いだほか、循環取引による連鎖倒産も多数発生。加えて、リース契約を不当に利用して資金調達を行ういわゆる“不正リース”の問題による倒産も複数見られた。こうしたケースは、好況の中でカネが回っているうちは表面化することは少ないが、国内経済が失速していけば、今後も次々と発覚してくる可能性が高いとしている。

 次いで、業務停止命令や許可取り消しなどの法令違反を要因とした「業法違反」による倒産が75件(構成比 26.0%、前年度比19.0%増)判明し、前年に続き過去最多を更新した。

 また2015年度は、不正な資金流出や詐欺行為を行っていた「資金使途不正」による倒産が67件(構成比23.2%)判明。これは、2014年度(15件)の4倍超(前年度比340.0%増)にあたり、過去最多を大幅に更新した。長年くすぶっていた詐欺事件や不透明な資金流出などが懸念されていた企業の倒産が発生したほか、中小企業でも代表や役員による使い込みなどのケースが多数みられ、件数を大きく押し上げたとしている。(編集担当:慶尾六郎)

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