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電子カルテ市場は病院向けが順調に伸び2018年には2,560億円に
1999年4月に厚生省(現厚生労働省)が電子カルテを認め、2001年の貸付金制度、2002年の補助金制度により電子カルテ市場が立ち上がった。当時いち早く電子カルテを導入し、2回目、3回目のリプレースを実施した病院も出始めている。
閣議決定の「日本再興戦略」で、「2020 年度までに400 床以上の一般病院における電子カルテの全国普及率を90%に引き上げる」「2018 年度までに、地域医療情報連携ネットワークの全国各地への普及を実現する」等の具体的な目標が示され、平成28年度診療報酬改定の基本方針「地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携」等の行政施策でも明らかなように、地域で病院・診療所・介護施設等が連携して同じ患者の診療を行う「地域完結型」医療への転換が求められている。医療機関の情報共有の要として、電子カルテ、PACSは今まで以上に大きな役割を果たしていくだろう。
これを受け、シード・プランニングは、電子カルテとPACSに関する調査を行い、その調査結果をまとめた。調査は電子カルテ・PACS等システムベンダー、ハードウェアメーカー、導入している病院・診療所などのヒアリングを行い、その結果をまとめた。
それによると、病院向け市場は、『「日本再興戦略」改訂 2015』で「400床以上の病院への電子カルテ普及率を90%以上に」の目標が示されたことで病院向けの電子カルテ市場は拡大が予想されるとしている。だが、最近の傾向をみると、納入数は順調に伸びているが、リプレースや案件の小型化やクラウド型が増え、単価が低下傾向にあるという。
市場は2015年の2,161億円から2018年には2,594億円へとゆるやかに伸びると予測した。今後納入数の伸びが期待されるのは普及率が42%程度の中小病院(ベッド数100~400床未満)だとしている。
診療所向け市場は、リプレース需要もあり、納入件数は順調に伸びるとしている。市場規模は2015年の156億円から2018年には156億円になると予想している。2014年の消費税8%への増税時には2013年に駆け込み需要が発生したため反動で2014年の市場が縮んだ(病院向けも同様)。今後の10%への増税時にも同様の影響が予想されるという。今後のターゲットは、電子カルテ未導入の既存診療所(全国で約6.9万診療所)。新規開業の診療所の70~80%は電子カルテを導入している。
2015年のPACS市場は中小規模病院、診療所などでクラウドサービスが伸びたが、大規模病院はリプレース需要のため、金額ベースでは473億円と横ばいだった。病院向けPACSは、大規模・官公立病院でリニューアル案件が出ているものの、リプレース需要が多く、市場は415億円前後で横ばいで推移しているとしている。
診療所向けのPACSは、オールインワン型や電子カルテアプリを備えた廉価なクラウドサービスなどで2015年は58億円の市場となった。クラウドPACSの導入数は2015年3月末で530施設と推計した。これは前年同期比で140施設の増加。シェアトップは 「NOBORI」 (テクマトリックス)で76%を占めるという。
今後のPACS市場はクラウドへの移行が容易なプラットフォーム(VNA、ユニバーサルビューア)の提供などで、クラウド型PACSが大きく伸びるという。クラウド型PACSの導入施設は2017年で800施設、要領は4,950TBになると予測している。(編集担当:慶尾六郎)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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