企業の8割「人材不足」サービス・IT・流通で鮮明

2016年1月26日 14:35

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記事提供元:エコノミックニュース

 人手不足が深刻さを増している。15年11月度の有効求人倍率は1.25倍で、バブル期越えの水準となった。パート・アルバイトの時給も(まだまだ低いとはいえ)上昇傾向にあり、多くの企業が人手不足に頭を抱える。人材採用・入社後活躍を手がけるエン・ジャパン(本社・東京都)の調査では、84%の企業が「人材が不足している部門がある」と回答した(1月19日公表「企業の人材不足実態調査」)。

 調査は昨年末、エン・ジャパンが運営する人事担当者向け中途採用支援サイト上で実施。対象はサイトを利用する企業の人事担当者で、578社から回答があった。

 「現在、人材が不足している部門はありますか?」と聞いたところ、全体の84%が「ある」と回答。2010年に実施した同調査(64%)に比べ20ポイントも増加しており、売り手市場を裏付けている。

 特に「人材が不足している」業種のトップ3は、1位が「サービス関連」(92%)、2位「IT・情報処理・インターネット関連」(88%)、3位「流通・小売関連」(87%)。なかでも「サービス関連」は、「人材が不足している部門がない」と回答した企業が1割以下となっており、業界全体で人手不足が深刻なようだ。

 企業規模別でみると、中堅~大手企業で人手不足感が強い。従業員数が「1001名以上」では94%、「501~1000名」では93%、「301~500名」では90%が人手不足を訴えた一方、「1~50名」では77%。大企業に比べて、人手不足感は少なめだ。

 人手不足の理由で最も多かったのは、「退職による欠員」(55%)。対策として、8割の企業が「正社員の採用を行なう」と回答した。正社員を採用したい理由では、「中長期で業務拡大が見込めるので、長期的に人材確保・育成して行きたい」「当社独自のノウハウをしっかりと身に着けて活躍してもらいたい」「技術職で特殊なため、正社員を採用して時間をかけて育てたい」などが目立つ。調査したエン・ジャパンでは、「正社員を採用して継続的に業務を任せ、事業拡大につなげたいという企業の想いが伺える」とコメントしている。(編集担当:北条かや)

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