お待たせの「秋相場」で3月期2Q業績の上方修正銘柄に「第2段ロケット」の先行発射を期待=浅妻昭治

2015年10月26日 10:55

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

 「笛吹けど踊らず」で、材料不振相場が続いていた。新聞、テレビなどで仰々しくヘッドラインが並ぶ株価材料、相場テーマが多いのだから、もっと盛り上がってよかったはずなのに、株価の反応は、いまひとつ冷めていて限定的、局地的にとどまっていたからだ。マイナンバー制度、電力小売全面自由化、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉大筋合意、新3本の矢、一億総活躍社会、日本郵政グループIPO(新規株式公開)など期待倒れ、失速気味の材料は、数え上げれば切りがなかった。

 この背景については、材料が出涸らしでサプライズがない、ムード先行型で具体性に欠ける、さらに旗振り役の力不足などといろいろ考えられた。しかし、何といっても大きいのは投資家サイドの懐具合だったに違いない。この8月、9月の世界同時株安のトバッチリで膨らんだ保有株の評価損をどう処理するかに追われたままで、前を向く余裕などまだ持つまでに至っていなかったと推察する。ヤラレ続きの資産効果はマイナスで、とても中国人旅行客のように「爆買い」などできない相談であった。市場には、日本郵政グループのIPOで、株式市場にニューマネーを誘導し再活性化を図るとの憶測が流れていたが、果たして目論見通りに投資家心理の縮小スパイラルに歯止めを掛けられるか保証の限りではないとの見方も少なくなかった。

 そんな気迷い相場をブレークスルーする可能性が出てきた。キッカケは、10月22日の欧州中央銀行のドラギ総裁の追加金融緩和発言で、続いて23日には実際に中国人民銀行が、景気減速に歯止めをかけるために利下げ、預金準備率の引き下げの追加緩和策を決定したからだ。これに10月27日~28日開催の米国FRB(連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)で金利引き上げが見送られ、同30日から開かれる日銀の金融政策決定会合で追加緩和策が発動されるようなら、緩和マネーが再度、市場に流入して「お待たせの秋相場」スタートとなるとの期待が高まってきた。日本郵政グループIPOだって、むしろ拡大スパイラルの加速剤になるかもしれないのである。

 秋相場スタートのもうひとつの期待材料は、折から始まった企業業績の発表だろう。先行した米国市場では、7月~9月期決算が当初、4~5%減益と予想されていたのが発表が進むに従ってアルファベット(グーグルの持株会社)、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトなどは好決算を発表してニューヨーク・ダウ工業株30種平均株価が、およそ3カ月ぶりの高値まで駆け上がった。これから本格化する日本企業への決算発表への期待は膨らむ。仮に日銀の金融政策決定会合で、麻生太郎財務大臣の発言通りに追加金融緩和策が見送られたとしても十分にオツリがくるとの計算も働く。

 こうなると、決算発表でのサプライズ銘柄探しも過熱しそうだ。そこでその先行銘柄として注目したいのが、今年9月に入って今3月期4~9月期(2Q)累計業績を上方修正し、3月通期業績については精査中で、通期業績見通しは、2Q累計決算発表時に公表するとした銘柄である。2Q累計業績の上方修正でストップ高した銘柄もあり、3月通期業績も上方修正するようなら、株価的に「第2段ロケット発射」が期待されるからだ。 

 先行モデル銘柄がある。石塚硝子<5204>(東1)だ。同社株は、今年7月に今期2Q累計業績と3月通期業績を上方修正し、10月13日にその2Q累計業績を上方修正し、3月通期業績は、精査中で2Q累計決算を発表する10月21日に公表するとしていた。その2Q累計業績上方修正時は、株価は、7月の1回目に急伸していただけにロケット発射は不発となる残念なことになったが、10月22日の2Q累計決算に発表時に3月通期業績を再上方修正して株価はしっかりロケット発射となった。前週末23日まで同様の業績修正する銘柄は続出しており、まさに石塚硝子並みの「一粒で二度おいしい」ことを示唆しているもので、2Q累計決算の発表予定日を待ち伏せて先取り妙味十分となる。(本紙編集長・浅妻昭治)

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