店頭におけるIT活用の最新事情 アパレルウェブが無料セミナー「サロン・ド・アパレルウェブ」開催

2015年10月2日 16:41

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記事提供元:アパレルウェブ


 ファッション企業のeコマースやウェブ関係者が抱えている課題解決を目的とし、ウェブ分野におけるノウハウを多く保有している企業や、先進的な取り組みを行う企業をゲストに迎える「サロン・ド・アパレルウェブ―ファッション業界のIT活用について皆で考える会」(運営:アパレルウェブ)の第3弾が7月、都内で開かれた。

 3回目となる今回は、「店頭におけるIT/デジタル活用術」をテーマとし、ブログの仕組みを各テナントに提供しているパルコの林直孝WEB/マーケティング部部長と、企業の「LINE@」導入を推進するLINE Business Partnersの長福久弘社長を講師として迎えた。

■売れてるブランドの88%がブログを導入―アパレルウェブ


アパレルウェブの杉本慎太郎事業統括本部本部長
 アパレルウェブの杉本慎太郎事業統括本部本部長は、「売れるブログの秘策とアプリ活用術」について講演。ブログやアプリを実際に活用している企業の事例や、店舗での活用ノウハウについて、200ブランド以上の導入実績をもとに話した。

 まず杉本は、消費者のアプリ活用状況を、「ジーユー」の事例を交えて説明。「クーポン利用ができることをフックに、店頭スタッフがアプリダウンロードを促進すると、ほぼ100%(観光客やガラケーを使っている人を除く)の人がダウンロードしてくれている」と話した。

 また自社調査の結果、ネットによる売り上げが10億円以上かつ前年比伸び率の高い企業を見ると、88%がブログを導入し、70%がアプリを導入。オムニチャネル化への手法として、今後はアプリやブログを活用し、顧客接点を増やす取り組みがますます重要になると強調した。

 ブログユーザーの動向として、スマートフォンを使って閲読している人が全体の70%以上を占めており、それを踏まえたウェブの運用が必要であると説明。加えて、ブログがECサイトと連携しているブランドは、連携していないブランドと比べると、売り上げに大きな差が生まれると指摘。また、アプリの利用を拡大する場合は、老若男女問わずいかに多くの人にダウンロードしてもらうかが重要で、それに伴い、店舗スタッフが顧客に対してしっかりと声がけするという教育が求められる、と加えた。

■「LINE@」最大の強みは、潜在顧客の囲い込み―LINE@


長福久弘LINE Business Partners社長
 長福久弘LINE Business Partners社長は、コミュニケーションツールとして急成長を遂げたスマートフォンアプリ「LINE」を通してみた消費者のコミュニケーションのあり方と、LINEの法人向けツール「LINE@」の活用方法について講演した。

 現在世界中でコミュニケーションアプリが注目されており、日本では「LINE」、韓国では「KakaoTalk」、中国では「WeChat」、英語圏では「What's UP」の人気が高く、この勢力の陣取り合戦がグローバルで繰り広げられていると話した。

 「LINE」の月間アクティブユーザーは、世界で1億8000万人(2015年3月時点)。日本では5,800万人の登録ユーザーがおり、外部データによると30代以上で55%、63%のユーザーが毎日使っていることから、メディアとしての規模も大きくなっているという。また、2015年には、“LIFE”をキーワードにしたサービスを拡充していく予定だという。

 「LINE」をマーケティングとして活用する際の特徴としてあげたのは、「無視されないこと」と長福氏。大きな分類としては①メッセージ、②スタンプ、③Free Coinsという3つの軸でサービスを展開していると説明した。

 法人向けツール「LINE@」には現在、24万アカウントが存在し、個人から企業まで幅広く使われているという。利用拡大が進んでいる理由として、(1)顧客コミュニケーションの変化、(2)低コストでの運用が可能であること、(3)売り上げにつながりやすいこと、をあげた。また最大の強みは、今後顧客になる可能性のある潜在顧客を囲い込める部分にあると話した。

■「カエルパルコ」を軸としたオムニチャネルサービス―パルコ


林直孝パルコWEB/マーケティング部部長
 林直孝パルコWEB/マーケティング部部長は、「店頭のIT/デジタル活用~パルコの事例紹介」について講演。テクノロジーの活用によって、“接客は来店前から始まっている”とし、ブログやSNSをはじめとするITツールを用いたパルコの取り組み事例を中心に解説した。

 同社がまずはじめに取り組んだショップブログ(=ブランドが各店舗ごとに発信するブログ)は、いつでもどこでもウェブ上の接客を可能にするツールとして、パルコに出店しているテナント3,000店舗が利用。それ以外にも、「WEAR」のような他社プラットフォームとの連携や、テナント側のECサイトとのコンテンツ連携も開始するなど、ITテクノロジーを利用した販促や情報連携を加速させている。ECサイトとの連携では、アフィリエイトを組み込んだモデルを導入した。

 昨年は、全国約100ショップのスタッフがお勧め商品を紹介するウェブサービス「カエルパルコ」をオープンした。「カエルパルコ」では、同社のマーケティングノウハウを生かし、(1)温もり、(2)場所・時間を超えた接客、(3)あらゆるメディアへの露出―という価値をテナントに提供していると話した。また、スマートフォンアプリ「ポケットパルコ」については、登録ユーザーと、未登録ユーザーとの間で、客単価185%の違いがあると明かし(ハウスカード会員を対象に調査)、アプリ導入のメリットを強調した。

 パルコでは今後、テクノロジーを駆使することによって、テナントスタッフの顕在・潜在的な能力をひきだし、顧客にとってより魅力的なオムニチャネルサービスを提供していくという。

※この記事はアパレルウェブより提供を受けて配信しています。

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