DNPと筑波大、内部構造が見やすい臓器模型を3Dプリンターで安価に作製

2015年7月9日 16:30

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大日本印刷と筑波大学が開発した内部構造が見えやすい臓器立体模型(大日本印刷の発表資料より)

大日本印刷と筑波大学が開発した内部構造が見えやすい臓器立体模型(大日本印刷の発表資料より)[写真拡大]

  • 従来の臓器模型(大日本印刷の発表資料より)

 大日本印刷(DNP)と筑波大学医学医療系の大河内信弘教授、大城幸雄講師、システム情報系の三谷純教授は9日、従来よりも安価に、血管などの内部構造が視認しやすい臓器立体模型を3Dプリンターで作製する手法を共同開発したと発表した。

 従来の3Dプリンターで使用する材料の樹脂は高価で、実質臓器の立体模型1つの作製に数万~数十万円かかるため、患者一人ひとりの立体模型を必要とする臨床分野への展開は困難だった。さらに、従来の模型は、内部の血管などの構造物を不透明またはカラーの樹脂で、実質部を透明な樹脂で作製しており、透明樹脂は模型の形状によって光の屈折などの影響を受けるため、内部がゆがんで見え、血管などの臓器の内部構造の視認性が低いという課題もあった。

 今回両者の知見を応用し、従来よりも安価で、内部構造が視認しやすい実質臓器の立体模型を作製する手法を開発し、肝臓の3Dプリントモデルの作製に成功した。筑波大学が3次元データを作成し、DNPが3Dプリンター用データへの補正と出力条件の設定を行った。

 臓器の機能を担う実質部(肝臓の場合は肝細胞部分)の外面に沿うように形成しており、内部のほとんどを空洞にしている。そのため、樹脂材料の使用量が削減され、従来の約3分の1の価格を可能とした。

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