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東工大、小さな亀裂でセラミックスが割れにくくなることを発見―強度と靭性の両立に期待
東京工業大学の若井史博応用セラミックス研究所所長・吉田貴美子大学院学生らの研究グループは、1μm以下のわずかな亀裂進展で、セラミックスが割れにくくなることを突き止めた。
砂や岩石の主成分である二酸化ケイ素(シリカ)は、石英やシリカガラスとして利用されているが、脆くて割れやすいという欠点がある。セラミックスは一般的に硬いものほど割れやすい傾向があるが、ナノ多結晶スティショバイト(二酸化ケイ素の高圧相)は硬さと割れにくさを併せもつセラミックスである。つまり、二酸化ケイ素という地球上にありふれている物質から優れた機能をもつセラミックスが合成でき、資源の制約のない持続可能社会に適した材料であるといえる。
今回の研究では、集束イオンビームにより加工した微小試験片を用いて、ナノ多結晶スティショバイトの破壊に対する抵抗が亀裂進展とともにどのように増加するかを調べた。
その結果、ナノ多結晶スティショバイトの破壊抵抗はわずか1μmの亀裂進展で8MPa・m1/2まで上昇し、その飽和値は10MPa・m1/2近く、セラミックスの中でも高い破壊靭性をもつジルコニアや窒化ケイ素よりもはるかに高いことが分かった。
また、ナノ多結晶スティショバイトの亀裂進展にともなう破壊抵抗の初期増加率も極めて高いこと、アモルファス化による体積変化率の高いことがナノ多結晶スティショバイトの優れた靭性の理由であることなども明らかになった。
今後は、本研究をさらに進めていくことで、高強度・高靭性セラミックスの研究開発に新たな飛躍と展開をもたらすと期待されている。
なお、この内容は「Scientific Reports」に掲載された。論文タイトルは、「Large increase in fracture resistance of stishovite with crack extension less than one micrometer」(和訳: 1ミクロン以下の亀裂進展によるスティショバイトの大幅な破壊抵抗の上昇)。
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