ガスと電気の“イイとこ取り”、 ハイブリッド型給湯暖房機の今──「ECO ONE」とは?

2015年6月13日 20:45

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記事提供元:エコノミックニュース

リンナイから4月に発売された第三世代の「ECO ONE」シングルハイブリッド給湯暖房機。写真は17.4kWタイプ

リンナイから4月に発売された第三世代の「ECO ONE」シングルハイブリッド給湯暖房機。写真は17.4kWタイプ[写真拡大]

 2010年にリンナイが初代モデルを発表したハイブリッド型給湯暖房システム「ECO ONE」。それは、空気熱を活用した電気「ヒートポンプ」と使い勝手の良いガス給湯暖房機「エコジョーズ」を組み合わせ、最大の相乗効果を発揮する世界初の給湯暖房システムだ。瞬発力のあるガス給湯器「エコジョーズ」が常に「ヒートポンプ」をバックアップすることで、電気式ヒートポンプのポテンシャルを最大限に引き出し、高い省エネ性を実現する。

 ヒートポンプとエコジョーズが必要なお湯の量に合わせてハイブリッド運転を行なう「ECO ONE」。ガスと電気の“イイとこ取り”と言われるハイブリッドシステムが、その大きな特徴である。通常お湯を必要とするキッチンや洗面、シャワー使用時にはヒートポンプが貯めたお湯をタンクから供給。風呂への湯はりや複数の蛇口からの同時給湯など、お湯を大量に必要とするときはタンクのお湯に加え、エコジョーズが必要な湯量を追加サポートするというのが基本的な仕組みだ。湯切れもなく、お風呂の湯はりもスピーディとされる。

 しかも、原子力発電が大前提の深夜電力で湯を沸かして翌日の夜までお湯を貯湯する「エコキュート」に代表される電気式ヒートポンプの湯温度は90℃以上。そうしないと湯温度が下がって使い物にならない。一度湧かしたお湯が冷めるという効率の悪さを内包する。しかも、設置するタンクは通常300リッター以上だが、ECO ONEなら45℃のお湯を50~100リッターほど貯めるだけで、システム全体を小型化できる。そのためコンパクトでスペース効率もいい。無駄に熱いお湯を貯めないのでエネルギー効率も高い。また、温水式床暖房の使用においても省エネと光熱費節約を実現。リンナイの「ECO ONE」初代モデルは、省エネ設備の評価基準である一次エネルギー効率で125%を達成した。

 以降、2012年には省エネ性能をアップさせた第二世代モデルを発売。同時に、集合住宅でも設置可能な小型タイプ、給湯に加えて床暖房にもヒートポンプの熱を利用するダブルハイブリッドタイプなど、ラインアップの拡充を図ってきた。その第二世代「ECO ONE」は、給湯における一次エネルギー効率の高さが評価され、2014年1月、省エネ大賞の最高賞「経済産業大臣賞」を受賞した。

 一方、2015年にリンナイは、ハイブリッド給湯システム「ECO ONE」の第三世代モデルを発表、4月から発売を開始した。このハイブリッド型給湯器「ECO ONE」の販売は、「2011年以降、毎年台数ベースで前年比50%増の伸長を示し、発売以来累計で2万5000台の販売実績」(リンナイ広報部)だという。

 電気とガスの“イイとこ取り”を実現したハイブリッド技術によって、省エネ性・経済性・環境性が高められ、省エネ性においては従来のガス給湯器に比べて給湯光熱費を約56%削減。電気温水器や灯油給湯器と比べても給湯コストを大幅にカットできる。

 なお、資源エネルギー庁「エネルギー白書2014」によると、2012年度における家庭用エネルギー消費は、動力・照明他37.3%、給湯28.0%、暖房24.0%、厨房8.3%、冷房2.3%の順となった。つまり一般家庭のエネルギー消費比率は、給湯と暖房の2項目で半分以上を占めていることが分かる。給湯と暖房を制することが省エネ住宅への近道のようだ。

 現在、給湯暖房機分野においては、「エコキュート」や「エネファーム」といった環境対応型製品の比率が伸長していくというのが一般的な見方だ。しかし、このハイブリッド給湯「ECO ONE」は、これまで300リットル以上の大きな貯湯タンク設置場所などの問題で環境対応型製品を導入できなかったマンションなどの世帯でも採用が進むと思われる。また、さらなる低コスト化が実現すれば、2030年度において従来型給湯器を凌駕する可能性もある。

 これまで住宅の給湯暖房分野では東京電力など電力会社主導の「オール電化:エコキュート」と東京ガスなどガス事業社による「エネファーム:ガス式燃料電池」の競争・対立構図があり、両分野の融合はなかった。東日本大震災以降の「電気だけ」「ガスだけ」というリスクからの離脱が「ECO ONE」のキーポイントとなりそうだ。(編集担当:吉田恒)

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