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「プログラマーは凄腕か役立たずのどちらか」という神話
headless 曰く、 やや旧聞となるが、プログラマーの才能に関する「神話(myth)」について、Djangoの貢献者として知られるJacob Kaplan-Moss氏がPyCon 2015の基調講演で語ったそうだ(YouTube、LWN.net、Slashdot)。
実際のところ、プログラミング能力を測定する体系だった方法は存在しない。そのため、プログラマーは凄腕プログラマーと役に立たないプログラマーに二分され、中間はほとんど存在しないとする神話が生まれたのだという。もしも何らかの方法でプログラマーのプログラミング能力を測定できれば、正規分布に近い分布になるはずだと主張するKaplan-Moss氏によれば、バイモーダル分布であるとする神話を信じることは、無意味であるだけでなく危険を伴うとのこと。このような神話はロックスターかニンジャでなければプログラミングができないという幻想を生み出し、多くの人々をプログラミングから遠ざける。
プログラミングを仕事にしようと決めた人は、それに情熱を傾けなければならないと考えるようになるが、実際にはプログラミングは情熱でも才能でもないという。プログラミングの仕事では単にコードを書くだけでなく、設計やコミュニケーション、ドキュメント作成、デバッグなどさまざまなスキルが必要となる。これらのスキルを身に着け、仕事がこなせるレベルで十分だと考えれば、プログラミングを始めるときの敷居は低くなる。
また、才能の神話はIT業界に蔓延する性や人種による偏見、ホモフォビア、差別などといった、さまざまな問題の一つなのだという。才能の神話は「才能にあふれる嫌な奴(brilliant asshole)の神話」に再キャストされる。つまり、たとえどんなに嫌な奴でも、みんな我慢して一緒に働かなくてはならない、非常に仕事の能力の高い「10xプログラマー」が存在するという神話だ。しかし、プログラミング能力が正規分布しているとすれば、これらの人々も特別な能力を持っているわけではない。たとえ特別であることを認めるとしても、数多くの開発者が離れていくことになるとのことだ。このとき(動画の22分50秒あたり)、ステージでは「The "brilliant asshole"」と書かれたスライドに中指を立てたLinus Torvalds氏の写真が映し出され、会場を沸かせた。
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