アリアン5ロケット、通信衛星ソー7とシクラル2の打ち上げに成功

2015年4月28日 14:00

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記事提供元:sorae.jp

アリアン5ロケット、通信衛星ソー7とシクラル2の打ち上げに成功(Image credit: Arianespace)

アリアン5ロケット、通信衛星ソー7とシクラル2の打ち上げに成功(Image credit: Arianespace)[写真拡大]

 アリアンスペース社はギアナ時間4月26日、ノルウェー王国のテレノール社の通信衛星「ソー7」と、イタリアのテレスパツィオ社が運用する通信衛星「シクラル2」の2機を搭載した、「アリアン5 ECA」ロケットの打ち上げに成功した。

 ロケットはギアナ時間2015年4月26日17時00分(日本時間2015年4月27日5時00分)、南米仏領ギアナにある、ギアナ宇宙センターのELA-3から離昇した。ロケットは順調に飛行をし、打ち上げから約28分後にソー7を分離、続いてその約6分後にシクラル2を分離し、所定の軌道へと投入した。

 ソー7(THOR 7)はノルウェーのテレノール社が運用する通信衛星で、スカンディナヴィアや中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ地域にテレヴィ放送サービスを提供する。また、北海やノルウェー海、紅海、バルチック海、ペルシャ湾、地中海などで海事産業を行っている業者に対して通信サーヴィスを提供する。製造は米国のスペース・システムズ/ロラール社が担当した。打ち上げ時の質量は約4600kg。西経0.8度の静止軌道で運用され、設計寿命は15年が予定されている。

 シクラル2(SICRAL 2)は軍用の通信衛星で、フランス軍、イタリア軍を中心に、NATO各国も使用することができる。衛星の運用はイタリアのテレスパツィオ社が担う。製造はフランスに本拠地を置くタレース・アレーニア・スペース社が担当した。打ち上げ時の質量は4400kgで、設計寿命は15年が予定されている。静止軌道の場所は明らかにされていない。

 アリアン5は、エアバス・ディフェンス&スペース社が開発、製造しているロケットで、アリアンスペース社によって運用されている。今回の打ち上げに使われたECA型は、アリアン5シリーズの中でも主力機として使われている機体だ。

 アリアン5シリーズは今回を含めて78機が打ち上げられており、そのうちロケットが爆発、墜落したり、衛星を予定通りの軌道に投入できなかったりといった明確な失敗を4度起こしており、成功率は約94.9%ほどである。しかし、現行のアリアン5 ECAは、48機の打ち上げの中で失敗は1号機のみで、2号機以降の47機は連続で成功を続けており、成功率97.9%という高い信頼性を持っている。

 アリアン5 ECAは現在、静止衛星の商業打ち上げ市場の約半分のシェアを握っているが、米国などではアリアン5より安価なロケットが出現しつつある。そこで、2020年代に向けてその地位をさらに確固たるものにするため、より打ち上げ能力を高め、反面コストを約半額に抑えた後継機「アリアン6」の開発が始まっている。

■Arianespace - Press Release - Mission accomplished! Arianespace launches Thor 7 and Sicral 2 satellites
http://www.arianespace.com/news-press-release/2015/4-26-2015-VA222-launch-success.asp

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