東北大、極細チタン酸ナノワイヤーの新しい製作手法を開発

2015年4月17日 22:48

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東北大学の浅尾直樹教授・中山幸仁准教授の研究グループが作成に成功した、極めて細いチタン酸ナノワイヤー。無数に絡み合ってマリモのような特徴的な集合体をつくっている(東北大学の発表資料より)

東北大学の浅尾直樹教授・中山幸仁准教授の研究グループが作成に成功した、極めて細いチタン酸ナノワイヤー。無数に絡み合ってマリモのような特徴的な集合体をつくっている(東北大学の発表資料より)[写真拡大]

  • 東北大学の浅尾直樹教授・中山幸仁准教授の研究グループが作成に成功した、極めて細いチタン酸ナノワイヤー(東北大学の発表資料より)
  • 東北大学の浅尾直樹教授・中山幸仁准教授の研究グループが作成に成功した、極めて細いチタン酸ナノワイヤー。ナトリウム原子層が酸化チタン層にサンドイッチされた層状構造をとっていた。(東北大学の発表資料より)

 東北大学の浅尾直樹教授・中山幸仁准教授の研究グループは、チタンアルミ合金を水酸化ナトリウムに室温で浸漬することで、極めて細いチタン酸ナノワイヤーを高効率で作製することに成功した。

 カーボンナノチューブやシリコンナノワイヤーなどに代表される一次元ナノ材料の中でも、チタン酸化合物は優れた誘電特性・半導体特性・光触媒活性などを有する。これまでは、水熱合成法やゾルゲル法などにより合成されてきが、作製過程の熱処理に伴い結晶成長が進みワイヤー径が拡張するため、更に細いワイヤーの合成法が求められていた。

 今回の研究では、チタンアルミ合金を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬するという極めてシンプルな方法によって、チタン酸ナトリウムナノワイヤーを高収率で作製することに成功した。この作製法は直径の増大をもたらす熱処理が不要であるため、これまで作製されたナノワイヤーに比べ、直径が数ナノメートルという極めて細いナノワイヤーを作製することが可能になった。

 得られたナノワイヤーは無数に絡み合ってマリモのような特徴的な集合体を作っており、これを更に拡大するとナノワイヤーが生成していることが分かる。また、X線構造解析法や高分解能透過電子顕微鏡法により分析したところ、このナノワイヤーは、ナトリウム原子層が酸化チタン層にサンドイッチされた層状構造であることが明らかになった。

 層状構造を有する金属酸化物は、イオン交換によって様々なイオンを吸着することが知られており、今回作製したナノワイヤーの吸着能を評価したところ、従来の材料と比べてより多量のストロンチウムイオンを吸着することが可能で、かつイオン交換速度が極めて速いことがわかった。

 今後は、海水など様々な金属イオンを含む条件でストロンチウムイオンを選択的に吸着するかどうかを検証する実験を行うなど、実用化に向けた取り組みを進めていく予定となっている。

 なお、この内容は米国の化学会誌「Nano Letters」に掲載された。論文タイトルは「Ultrafine Sodium Titanate Nanowires with Extraordinary Sr Ion-Exchange Properties」。

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