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大阪府大、ユーグレナが合成するワックスエステルの組成改変に成功 バイオ燃料生産の効率化に期待
今回の研究の概要を示す図(大阪府立大学などの発表資料より)[写真拡大]
大阪府立大学の中澤昌美助教らの研究グループは、ユーグレナから構成炭素長の短いワックスエステルを作ることに世界で初めて成功した。
ユーグレナ(ミドリムシ)を酸素不足の環境にさらすと、細胞内に貯めた多糖類パラミロンを分解して、バイオ燃料の原料となるワックスエステルという油脂を細胞の中に作り出す。このワックスエステルから作るバイオディーゼル燃料を、車輌用燃料やジェット燃料などの輸送用燃料へ利用することが期待されているが、ユーグレナがワックスエステルを作るメカニズムには解明されておらず、ワックスエステル合成を制御して生産能力を向上させることが困難だった。
今回の研究では、ユーグレナがワックスエステルを合成する過程の中で脂肪酸を伸長する反応を触媒する「3-ケトアシルCoAチオラーゼ(KAT)」は、少なくとも6種類あること、そしてそのうち3種がワックスエステル合成に直接関わっていることを明らかにした。このうち、短鎖脂肪酸を伸長するKATの発現を抑制すると、ユーグレナが作りだすワックスエステル量が大きく低下し、中・長鎖脂肪酸を伸長する2種類のKATの発現を抑制すると、細胞内のワックスエステル量をほとんど変化させずに、構成炭素長の短いワックスエステルを生産するユーグレナを作り出すことが分かった。
このような改変を行ったユーグレナが生産するワックスエステル由来のバイオディーゼル燃料を調べたところ、通常ユーグレナが作るものと比較して、凝固点が8℃、融点が12℃低下しており、低温での流動性が向上していた。
今後は、本研究で得られた成果を発展させることで、炭素長や組成比の異なるワックスエステルを生産できる可能性があり、目的に応じた特性のバイオ燃料を生産する技術につながることが期待できる。
なお、この内容は「Lipids」オンライン版に掲載された。
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