帝人グループ、西陣織を活用した心電測定用ウェアラブル電極布を開発

2015年4月10日 15:30

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装着・測定時イメージ(写真:帝人発表資料より)

装着・測定時イメージ(写真:帝人発表資料より)[写真拡大]

  • 救急用12誘導心電計測布外装面(写真:帝人発表資料より)
  • 救急用12誘導心電計測布電極面(写真:帝人発表資料より)

 帝人グループの帝健は9日、京都大学医学部、および公益財団法人京都高度技術研究所との共同研究で、西陣織の技法を用い、着用するだけで12誘導心電の迅速・適切な計測ができるウェアラブル電極布を開発したと発表した。

 心臓疾患は、日本人の死因の第2位を占めており、心臓疾患による救急搬送の件数は年々増加する傾向にある。急性虚血性心疾患などの緊急措置を要する疾患の患者の救命率を向上させるには、救急搬送をする前に、12誘導心電という精密な心電計測を迅速に行うことが重要である。

 しかし、12誘導心電は10個の電極を正しい位置に取り付けなければ適切な計測ができないため、救急現場での実施が困難であり、広く普及していない。今回の研究で、12誘導心電計測に必要とされる10個の電極のうち、8個を配置した帯状のe-テキスタイル(電気回路を持つ布)を開発。

 このテキスタイルを正中線、およびわきの下に合わせて胸の周りに巻くことで、ウェアラブル電極布として、迅速かつ簡単、適切に12誘導心電を計測できるようになる。

 このe-テキスタイルには、連続した1本の緯糸(よこいと)で複雑な模様を織りなす西陣織の技法が用いられている。西陣織の技法を用いることで、1本の導電糸を電極・導線とした高品質な心電計測布を、工業的かつ安定的に生産が可能になる。今後、まずは救急搬送時用として、2015年内に商品化される計画。(記事:阪木朱玲・記事一覧を見る

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