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東工大、新しいアンモニア合成法のメカニズムを解明 合成の省エネ化に期待
さまざまな材料にルテニウムを担持した触媒を用いた窒素分子切断反応(東京工業大学の発表資料より)[写真拡大]
東京工業大学の細野秀雄教授らによる研究グループは、ルテニウム担持12CaO・7Al2O3エレクトライドを触媒に用いると、強固な窒素分子の切断が容易になり、アンモニア合成で速度の最も遅い律速段階が窒素分子の解離過程ではなく、窒素-水素結合形成過程となることを発見した。
人工的にアンモニアを合成する技術「ハーバー・ボッシュ法」は、1912年代に工業的に完成してから約100年経った現在でも、人類の生活を支えるために必要不可欠となっている。この方法の鍵となるのは、極めて強固で安定な窒素分子の三重結合を切断することで、反応を速やかに進行させるために、鉄やルテニウムを含む多くの触媒が開発されてきた。
今回の研究では、2003年に同グループが開発したC12A7エレクトライドの強い電子供与能(電子を他に与える能力)によって、ルテニウム触媒の性能が大きく向上し、強固な窒素-窒素三重結合を効率よく切断できることが明らかになった。さらに、C12A7エレクトライドにルテニウムを担持した触媒は、300℃以上の反応温度において水素の吸蔵と放出挙動を示すことや、320℃よりも高い温度と低い温度で活性化エネルギーが変化することも分かった。
今回の成果によって、アンモニア合成プロセスの省エネルギー化に向けた触媒開発の有力な手がかりが得られたといえる。今後は、アミンなど窒素を含む化合物を合成する化学反応へ応用できると期待されている。
なお、この内容は「Nature Communications」オンライン速報版に掲載された。
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