東大、新しいエボラウイルスワクチンを開発

2015年3月28日 22:34

印刷

エボラウイルスの電子顕微鏡写真(電子顕微鏡写真提供:東京大学医科学研究所 野田岳志 准教授)

エボラウイルスの電子顕微鏡写真(電子顕微鏡写真提供:東京大学医科学研究所 野田岳志 准教授)[写真拡大]

 東京大学の河岡義裕教授らによる研究グループは、新しいエボラウイルスワクチンを開発した。

 エボラ出血熱は、エボラウイルスに感染することによって起きる感染症で、致死率が非常に高い。現在3種類のエボラワクチンの臨床試験が行われているが、その効果や安全性の問題が懸念されている。

 今回の研究では、エボラウイルスの増殖に必須の遺伝子VP30を欠損した変異エボラウイルス「エボラΔVP30ウイルス」を人工的に作製した。実際にこのワクチンウイルスをサルに筋肉内接種したところ、4週間後に致死量のエボラウイルスを感染させても生き残ることが分かった。

 さらに、より安全なエボラウイルスワクチンを開発するため、エボラΔVP30ウイルスを過酸化水素水で不活化してサルに2回接種したところ、サルは全て生き残り、エボラ出血熱の臨床症状も示さないことが明らかになった。

 今後は、早期実用化を目指して、人に接種できる安全性基準を満たしたワクチン製造や臨床試験等を進めていく予定となっている。

 なお、この内容は3月26日に「Science」オンライン版に掲載された。

関連記事