間取りの改善で年間73kmも短縮!? 共働き世帯にやさしい住宅と社会

2015年3月7日 17:14

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

間取りを改善することで、新たな収納スペースが生まれるだけでなく、主婦が家事のために歩く距離が年間で約73kmも短縮されていたことが分かった。働く主婦にも優しい社会が今、広がりつつある。

間取りを改善することで、新たな収納スペースが生まれるだけでなく、主婦が家事のために歩く距離が年間で約73kmも短縮されていたことが分かった。働く主婦にも優しい社会が今、広がりつつある。[写真拡大]

 厚生労働省が発表した「平成25年度国民生活基礎調査」によると、夫婦共働きの世帯は年々増え続けており、現在約1065万世帯にのぼることが分かった。この数は、夫婦のいる世帯の約6割ほどになる。

 共働きの世帯が増えるにつれ、日本人の生活環境も大きく変わりつつある。とくに生活の基盤となる住宅について、木造注文住宅メーカーの株式会社アキュラホームが大変興味深いデータを公表している。

 同社は、2009年と2014年に同社が手がけた各100棟(計200棟)の住宅の間取りを比較、その変化について調べたところ、5年間の間に家事動線が短くなったことで、主婦が歩く距離が、5年前と比較して「年間で約73kmも短くなっている」というのだ。

 アキュラホームの調べによると、2009年度の新築物件では平均で5.72mだったキッチンから洗濯機などが置いてある洗面所までの距離が、2014年度に建てられた物件では4.47mと、その差1.25m、約22%も短くなっていることが分かった。これをもとに、日本女性の平均的な歩幅や1日の歩数、共働き世帯の主婦が家事に費やす平均時間などから試算した結果、上記の様に年間で約73kmも歩く距離が短縮されている結果となった。

 また、同調査によると、対面キッチンの導入率や、廊下ではなくリビングに階段を設置するケースが増えていることもわかった。対面キッチンは家族の顔を見ながら炊事ができるし、リビング階段はリビングやキッチンに居ながらにして子どもたちの出入りが分かる。共働きの世帯が増えているのに比例して、家族との触れ合いの時間をより大切にできるプランが人気を集めているのが面白い。さらに、リビングに階段を設置することで廊下や玄関に有効なスペースが生まれ、アキュラホームの新築物件ではこの5年間でシューズクロークを導入する住宅が約24%も増加したという。

 住宅だけでなく、働く主婦、頑張る主婦をサポートするサービスは増えている。例えば、オイシックス株式会社?3182?の「Oisix」や、生活協同組合の「コープネット」などの食品や生活雑貨の戸別宅配サービスや、株式会社白洋舎?9731?の「らくらく宅急便」や株式会社ホワイトプラスが運営する「リネット」などの宅配クリーニングサービス、さらには長谷川興産の「マイ暮らす」や、株式会社横浜セイビによる「コピエ(Copier)」などの家事代行サービスにいたるまで様々だ。

 実際のところ、これらのサービスを利用すると通常の金額よりも割高になる場合も多い。それでも利用者が増え、市場が拡大しているのは、やはり金額には代えられない便利さがあるからだ。また、その背景にはただ「ラクをしたい」というのではなく、これらのサービスを利用することで、家族との時間を大切にしたいという思いもあるのだろう。

 一昔前までは、共働きといえばもっぱら家計を助けるためという印象が強かったが、最近では経済的な目的だけでなく、女性の生き甲斐という側面も大きいようだ。不景気不景気と言われ続けてはいるが、結婚後、出産後も女性が安心して働ける環境やサポート体制が整った社会であることは、日本が豊かな国であることの何よりの証といえるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)

■関連記事
阪神・淡路大震災から20年。住宅技術どう進歩したか。
10年後の住宅市場 マーケットの縮小にどう対応するのか
住宅大手三社が浦安市と共同で「災害に強い」街づくり
相続税改正間近。評価額を最大8割減額する対策法
ペットの数が子供を上回る中、新たな展開をみせるペットビジネス

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連記事