増加する食品リスクの中、食物アレルギーから身を守る対策は?

2015年3月7日 19:44

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記事提供元:エコノミックニュース

 近ごろ、生産地や原産地等の偽装問題や異物の混入事件など、日本の食の信頼と安全神話を根底から覆すようなニュースが後を絶たない。事故後の後処理はもちろん、普段からの企業としての取り組みや安全管理体制、リスク管理が問われる由々しき事態だ。

 先進国の企業や店舗である以上、その営業規模を問わず、国民の健康や生命を左右する食の衛生面や原材料の生産体制の管理を徹底するのは当然のことで、利益を優先するあまり、これらを蔑ろにするようであれば、たとえ大企業であっても、いずれ淘汰されていくことになるだろう。

 しかしながら、企業がいくら衛生面や生産体制の管理を徹底しても、どうしようもない問題もある。それが食物アレルギーだ。食物アレルギーとは、特定の食物に対する過剰な免疫反応によって様々な症状を引き起こすもので、軽度の場合は下痢やかゆみ、じんましんなど、重度になれば血圧低下や意識障害、呼吸困難などを起こすこともある。最悪の場合は死に至る。よく知られているのは、蕎麦や小麦、鶏卵や乳製品、甲殻類などの食物アレルギーだが、最近では梅干しやグレープフルーツなど、これまでは考えられなかったような食品からもアレルギーの発症が報告されていることからも、どんな食品にもアレルギーのリスクが伴うと考えるのが常識となりつつある。

 そんなアレルギーから自分や家族の身を守るためには「原因物質の特定」と普段から「アレルギーを起こさないための対策」が必要になってくる。

 まず、原因物質の特定については、とくに目立った症状はなくても、食べた時に気分が悪くなるような食材があれば、一度、医師に相談したほうが良いだろう。アレルギー検査をすれば、その食品にアレルギー反応があるかどうかがわかる。アレルギー反応が判明した食品を摂取しなくなった途端、肌のかゆみや慢性の下痢症状が改善したなどという事例は少なくない。しかし、「アレルギーを起こさないための対策」というのは厄介だ。原因物質が特定できているなら、それを避けるようにすればいいが、特定できていないのなら、防ぎようがない。ある日突然、アナフィラキシーショックで重篤な状態に陥ることもあるかもしれない。

 自衛するためにはやはり、信頼のおける企業の食品を使うようにすることだろう。とくに加工食品に関しては、何が含まれているのか、またそれを製造、販売している企業のアレルギーに対する姿勢も知っておくべきだ。これは、普段の食品だけでなく、健康食品も同様だ。「健康食品」というイメージだけで安易に考えていると危ない。利用すれば利用するほど、健康を害している可能性だってあるのだ。

 とくに健康食品の場合は、原材料や加工の仕方なども含めて、それを製造している企業の姿勢を確認しておいた方がいいだろう。

 例えば、ミツバチ産品を扱う株式会社山田養蜂場などは、安全性の高い健康食品素材として古くから世界中で食されている「ローヤルゼリー」に対しても、発症率としては極めて低いもののアレルギーの発症の可能性を認めている。業界全体としては、食物アレルギーへのリスク対策は充分に行われていないのが現状だが、同社はこの問題に対して徹底的に取り組み、ローヤルゼリー製品へのアレルギー表示の義務化の提言や、アレルギーリスクの減少を目的としたローヤルゼリーの研究及び開発を行ってきた。その結果、ローヤルゼリーのアレルゲンタンパク質がアピシンおよびMRJP2であることをつきとめた。さらには同社独自の酵素分解技術によって処理したローヤルゼリーにおいてはアレルゲンタンパク質が分解され、アレルギー性が低減されることも明らかにしている。ちなみに、この酵素分解方法は特許第3994120号として公的にも認められている。

 同じ食品でも、それを生産している企業の姿勢によって安全性が大きく異なる。それを行うのは企業の責任ではあるが、消費者とて受け身でいるだけでは身を守ることはできない。今はインターネットで簡単に情報を集めることができる世の中だ。健康食品を購入する際には、その企業のWEBサイトなどで姿勢を確認しておくことも、アレルギー対策としては有効なのではないだろうか。(編集担当:松田渡)

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