脳のグリア細胞の異常が、強迫症や自閉スペクトラム症に見られる行動異常を引き起こすことを明らかに

2015年3月1日 12:35

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東京医科歯科大学の田中光一教授・相田知海助教らによる研究グループは、脳のグリア細胞の機能異常が強迫症や自閉スペクトラム症で見られる繰り返し行動に似た行動異常を引き起こすことを明らかにした(写真:同大学の発表資料より)

東京医科歯科大学の田中光一教授・相田知海助教らによる研究グループは、脳のグリア細胞の機能異常が強迫症や自閉スペクトラム症で見られる繰り返し行動に似た行動異常を引き起こすことを明らかにした(写真:同大学の発表資料より)[写真拡大]

 東京医科歯科大学の田中光一教授・相田知海助教らによる研究グループは、脳のグリア細胞の機能異常が強迫症や自閉スペクトラム症で見られる繰り返し行動に似た行動異常を引き起こすことを明らかにした。

 病的な繰り返し行動は、強迫症・自閉スペクトラム症・トゥーレット症候群などに共通して認められる症状で、グルタミン酸が脳の興奮性を過剰に亢進させることが原因であると考えられている。

 今回の研究では、グルタミン酸の代謝を制御するグリア細胞に着目し、グリア細胞に発現するグルタミン酸輸送体GLT1を欠損させたマウスを作製して実験を行った。その結果、GLT1を性成熟期以降に欠損させたマウスでは、顔や首を中心に激しい脱毛・皮膚損傷が出現することや、突発的に全身を激しく震わせるwet-dogと呼ばれる行動の回数も大幅に増加していることが分かった。

 このマウスの脳の神経活動を調べたところ、脳の興奮性は亢進しており、特に運動の制御にとって重要な大脳皮質—線条体間のグルタミン酸による情報伝達が過剰に活性化されていることが明らかになった。

 今後は、本研究成果が、繰り返し行動の抑制に有効な治療薬の開発に繋がると期待されている。

 なお、この内容は「Neuropsychopharmacology」に掲載された。

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