【鈴木雅光の投信Now】NISAのメリットはまだ理解されていない?

2015年2月25日 11:49

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 NISAがスタートして1年以上が経過しました。目下、日本株は15年ぶりの高値を更新し、海外でも米国をはじめ、ドイツなどが過去最高値を更新中です。株価への関心が高まれば、徐々に投資信託への興味も湧くでしょうし、そこにNISAという非課税制度が、充実化に向けた各種見直しを行っているため、NISA口座を通じて投資信託を買おうという動きが広まるだろうという期待感も高まっています。

 ただ、NISAのメリットに関しては、まだ周知が徹底していないようです。

 NISAのメリットは現状、5年間の運用で発生した値上がり益、配当金、分配金に対する課税が非課税になることです。そうである以上、やはり運用期間中に生じた分配金などについては、現金で受け取らずに再投資に回した方が、より効率的に殖やすことができるはずなのですが、いまだに分配金を受け取りたいという趣向に、大きな変化は見られません。

 NISAが始まる直前、2013年12月に支払われた、公募投資信託の分配金額は4204億500万円でした。それが、2015年1月には5335億円に増えています。

 公募投資信託全体の純資産総額が増えているから、分配金の額が増えるのは当たり前なのですが、増加率で見ると、支払われた分配金の額は26.90%。これに対して純資産総額の方は、2013年12月末が65兆274億2000万円で、2015年1月末が77兆6727億800万円ですから、増加率は19.44%です。

 もちろん、分配金の額は運用状況に応じて増減しますから、一概に決めつけることはできませんが、これだけ分配金の額が増えているということは、どうやらNISAがスタートしても、分配金を受け取りたいというニーズは根強く、したがって、毎月分配型のファンドが相変わらず人気を集めている、とも考えられそうです。

 しかし、それはNISAの趣旨が広く理解されていない証拠とも言えるでしょう。実際、資産形成層である20代、30代でも、毎月分配型ファンドが人気を集めています。長期の資産形成に必要なことは何なのか。その点の啓蒙が、まだまだ必要なようです。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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