肥満や2型糖尿病の治療に光明 内臓脂肪組織の制御性T細胞の増殖メカニズム解明

2015年2月9日 11:55

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記事提供元:エコノミックニュース

 生活習慣病の病態の一部には、肥満で脂肪組織が恒常性を保てなくなることが関係すると考えられている。例えば、肥満によって内臓脂肪組織に炎症が生じると、インスリン感受性が低下して耐糖能が下がり、血糖値が上がりやすくなる。内臓脂肪に存在するTregは、内臓脂肪組織の炎症を抑えることで、インスリン感受性や耐糖能を一定に保つ働きをしている。今回、このTregがどのように分化・増殖するのか、そのメカニズムが明らかになった。

 理化学研究所統合生命医科学研究センター 免疫細胞システム研究グループの小安重夫グループディレクターらの研究チームは27日、免疫反応を一定に保つ働きを担う免疫細胞「制御性T細胞(Treg)」のうち、内臓脂肪に存在するTregが、脂肪組織に特徴的な分化・増殖のメカニズムを持つことを発見したと発表した。

 研究チームは、野生型マウスの内臓脂肪組織からTregを採取し、細胞内の分子発現を解析することで、内臓脂肪組織のTregの性質を詳しく調べた。その結果、内臓脂肪組織では体の他の部位と異なり、Tregにインターロイキン-33(IL-33)受容体が高発現していることがわかった。そこで、IL-33あるいはIL-33受容体を遺伝的に欠損したマウスを用いて内臓脂肪組織を調べたところ、Tregがほとんど存在せず、内臓脂肪組織のTregの分化・増殖にはIL-33とIL-33受容体が必須であることがわかった。

 さらに、肥満マウスの内臓脂肪組織を調べたところ、内臓脂肪組織のTregが大幅に減少し、血糖値が上昇していた。そこで、IL-33を肥満マウスに投与したところ、内臓脂肪組織のTregが増加し、血糖値が改善されたという。

 ヒトの内臓脂肪組織のTregでも、マウスと同様にIL-33受容体が高発現していたことから、ヒトでもIL-33が内臓脂肪組織のTregの分化・増殖に関係しているのではないかと考えられるという。理研では、この成果はヒトの肥満や2型糖尿病の病態解明・治療応用に役立つと期待できるとしている。 (編集担当:慶尾六郎)

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