東北大、短期記憶と長期記憶はそれぞれ別の報酬成分が働いていることを明らかに

2015年2月1日 18:45

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報酬短期記憶を誘導するPAM細胞群(stm-PAM 左図マゼンダ 中図)と長期記憶を誘導するPAM細胞群(ltm-PAM 左図緑 右図)。各図白の影はキノコ体の位置(東北大学の発表資料より)

報酬短期記憶を誘導するPAM細胞群(stm-PAM 左図マゼンダ 中図)と長期記憶を誘導するPAM細胞群(ltm-PAM 左図緑 右図)。各図白の影はキノコ体の位置(東北大学の発表資料より)[写真拡大]

 東北大学の山方恒宏助教・谷本拓教授らによる研究グループは、ショウジョウバエの短期記憶と長期記憶がそれぞれ異なる報酬伝達神経群によって誘導されていること、そして「甘み」や「栄養価」というそれぞれ異なる報酬成分を伝えていることを明らかにした。

 記憶には短期記憶と長期記憶があることが知られている。食物や毒など、動物の生存に大きく関わることを学習する時は、一度の訓練で長期記憶に誘導されるが、その詳細なメカニズムについては明らかになっていなかった。

 今回の研究では、ショウジョウバエのPAMと呼ばれるドーパミン細胞のグループを調べたところ、報酬短期・長期記憶を特異的に誘導する異なる細胞グループがあることが分かった。さらに、それぞれの細胞グループが伝達しているのは、ショ糖報酬の甘さと栄養に関する情報であることも明らかになった。

 今後は、本研究成果が記憶の長期安定化メカニズムの解明や、記憶障害の治療などに繋がると期待されている。

 なお、この内容は「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」に掲載された。

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