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2015年(第31回)Japan Prize受賞者決まる、高橋裕博士らに
受賞者発表記者会見に出席した高橋裕博士(左)、アラン・フィッシャー博士(中央)、セオドア・フリードマン博士(右)[写真拡大]
国際科学技術財団は30日、2015年(第31回)Japan Prize(日本国際賞)の受賞者3名を発表した。「資源、エネルギー、社会基盤」分野は高橋裕博士(日本)、「医学、薬学」分野はセオドア・フリードマン博士(米国)、アラン・フィッシャー博士(フランス)となった。3氏には4月に予定されている授賞式典で賞状と賞牌が贈られる。
「資源、エネルギー、社会基盤」分野で受賞したのは「流域管理の革新的概念の創出と水災害軽減への貢献」に対して高橋裕(ゆたか)博士(日本)。
東京大学名誉教授高橋裕博士は、水害と社会との関係にいち早く着目し、現地調査と綿密なデータ解析を基に、構造物を中心とした治水政策から転換し、河川とその流域の自然と人間の共生を考慮した治水政策を進めることを1970年代に提唱。治水・利水と河川環境を統合した新しい河川工学の分野を切り拓いた。
海外では、日本と自然や社会が似通っているアジアモンスーン地帯の国々で地域協力や人材育成に尽力。博士の思想が具体的対策に取り入れられ、水災害の軽減や河川環境の改善に大きく貢献した。
「医学、薬学」分野では、「遺伝子治療の概念の提唱とその臨床応用」を行ったセオドア・フリードマン博士(米国)とアラン・フィッシャー博士(フランス)が選ばれた。
カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部小児科教授を務めるフリードマン博士は、1970年代に遺伝子治療の概念を提唱し、初期の遺伝子治療基盤研究を牽引。この領域の倫理問題に関しても、オピニオンリーダーとして40年にわたって第一線で活躍し、「遺伝子治療の父」と呼ばれている。
フィッシャー博士は致死的なX連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)患児に造血幹細胞遺伝子治療を実施し、遺伝子治療が臨床的に劇的効果を発揮することを世界で初めて実証。夢の治療法といわれた遺伝子治療を現実のものとした。フィッシャー博士は遺伝子疾病の研究機関であるイマジン研究所(パリ)の所長を務めている。
2016年(第32回)Japan Prizeの授賞対象分野は「物質、材料、生産」と「生物生産、生命環境」の2分野となる。(記事:町田光・記事一覧を見る)
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