東大など、次世代メモリ開発に繋がる物質の性質を明らかに

2015年1月13日 21:39

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模式的に示した磁気モーメントと新規電気分極成分の関係。X, Z方向はそれぞれ結晶のa, c軸と平行である(東京大学などの発表資料より)

模式的に示した磁気モーメントと新規電気分極成分の関係。X, Z方向はそれぞれ結晶のa, c軸と平行である(東京大学などの発表資料より)[写真拡大]

 東京大学の徳永将史准教授らによる研究グループは、次世代メモリの物質として注目されているビスマスフェライトの新たな電気分極を発見した。

 これまで、コンピュータに使用されるメモリは、より狭い領域に作りこむ微細加工技術によって支えられてきた。しかし、その延長はほぼ限界を迎えており、原子レベルでメモリとして機能する物質ビスマスフェライトが注目されている。

 今回の研究では、強磁場下におけるビスマスフェライトの磁気的・電気的応答を調べた。その結果、これまで知られていた結晶のc軸と平行な電気分極の他に、これと垂直な電気分極が存在すること、そしてこの新たな電気分極成分は磁場によって制御可能であることが分かった。

 この電気分極は一度磁場を加えると元と異なる状態に変化し、磁場を除いた後でも変化後の状態を保持し続ける。電気分極の向きで情報を記録するメモリーとしての使用を考えると、今回観測されたのは特定の状態を保持するのにエネルギーを必要としない不揮発性メモリー効果である。

 今後は、さらに研究を進めることで、消費電力が少なく磁石を近づけても情報が乱されない磁気メモリー材料の開発に繋がると期待されている。

 なお、この内容は「Nature Communications」に掲載された。

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