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有給休暇を企業が責任持って時期も指定? 有休の本来のあり方を考える
1月26日召集予定の通常国会で労働基準法改正案の骨子が提出される予定だ。改正案の1つに、有給休暇の時期などを企業が責任もって指定し、取得を促進するという案がある。「これでやっと有休が取れる」という声もある一方、「好きな時に取れなくなるのでは」という不安もささやかれている。[写真拡大]
1月26日召集予定の通常国会で、労働基準法改正案の骨子が提出される予定となっている。大きな改正案の1つに、有給休暇の取得に関し、時期などを企業が責任もって指定し取得を促進するという案がある。「これでやっと有休が取れる」という声もある一方、「好きな時に取れなくなるのでは」という不安もささやかれている。
米インターネットリサーチ会社の調査によると、世界25ヶ国を対象とした有給休暇取取得率で、日本は2013年まで7年連続の最下位だった。14年はワースト2位に浮上したが、最下位の韓国が取得率48%、日本は50%と僅差だ。「有給休暇を取る際、罪悪感を覚える」、「休暇中も仕事のことが頭から離れない」といった割合でも、日本は1位の座を守り続けている。
なぜこんなにも日本は有給休暇取得率が低いのか。有休を取れない・取らない理由に挙げられるのは、「周りが取らないのに、自分だけ取ることはできない」、「人手不足で取れない」など、周りへの遠慮が多数を占めている。「うちの会社では誰も有休なんて取ってないよ、と先輩に言われ申請をあきらめた」、「申請しても上司に理由を聞かれたり嫌味を言われたりする」など、会社や上司の雰囲気がそれを許さないといったケースも少なくないようだ。会社の空気、さらに言えば日本社会全体の空気として、「有休を取る=周りに迷惑をかける」と見なす・感じる悪習がいまだ根付いている感は拭えない。
しかし、企業側も有給休暇取得に向けて取り組み始めている所も多い。東洋経済が発表した「有休をしっかり取れる企業」というデータをみてみよう。これは、『就職四季報2016年版』掲載の1247社のうち、有給消化日数について条件付回答を除いた921社のデータをもとに算出されたものだ。これによると1位は東武鉄道〈9001〉の年間23.1日で、同社は1時間単位の有給休暇制度など細かな有給休暇消化への取組みを行っている。2位は東燃ゼネラル石油〈5012〉、3位は東芝〈6502〉。事業自体に安定感の強い鉄道関連、石油関連、電気・自動車メーカーなどが上位に並んでいる。
全体の平均消化日数は年間10.3日となっており、外食・中食業界は平均5.8日と大きく下回った。小売業も上位200社にはほとんどランクインしていない。事業の安定した大企業は有休取得取組みも行えているが、中小企業や外食・小売といった慢性的な人手不足に悩まされる業種では、まだまだそうした取組みは難しいことがうかがえる。
政府の改正案は、有給休暇の取得に向けた企業努力を後押しするものだが、本来有給休暇は自由に取っていいもののはずだ。こうしたことを法律で決めなくては、実行に移せない社会の病理は根深い。例えば、アルバイトでも半年以上勤めれば有給休暇が発生するが、それを知らずに働いている人や伝えない雇用主も多い。そうした基本的な知識をもっと共有し、「有休は当然取ってよいもの、遠慮せず取れるもの」といった意識を労働者、雇用者一人一人が持つべきではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)
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