東大、生殖細胞の減数分裂における遺伝子組み換えメカニズムを明らかに

2015年1月12日 22:07

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カゼインキナーゼ(CK1)とコヒーシン複合体による減数分裂期組み換えが開始するための分子機構を示す図(東京大学の発表資料より)

カゼインキナーゼ(CK1)とコヒーシン複合体による減数分裂期組み換えが開始するための分子機構を示す図(東京大学の発表資料より)[写真拡大]

 東京大学の作野剛士講師・渡邊嘉典教授らによる研究グループは、コヒーシンと呼ばれるタンパク質の複合体がリン酸化されることをで、減数分裂組換えの開始に必須な様々な因子群が染色体上に集まり、組換え反応が開始されることを明らかにした。

 生殖細胞は、減数分裂によって染体数が半分になった卵子あるいは精子が形成され、染色体が対を作る時にDNAのつなぎ換えを行う。そして、染色体を分配する過程で生じる異常によってダウン症や早期流産が引き起こされると考えられている。

 今回の研究では、分裂酵母のリン酸化酵素カゼインキナーゼ(CK1)の減数分裂期における機能を解析したところ、コヒーシン複合体のサブユニットの一つであるRec11をCK1がリン酸化することにより組み換え反応に必要な因子が染色体上に集積することが分かった。さらに、コヒーシンは、この軸様構造体を形成することで、組換え反応の開始に必須な因子を染色体へと呼び込んでいることも明らかになった。

 今後は、本研究成果がヒトの不妊やダウン症などの原因解明に貢献すると期待されている。

 なお、この内容は1月26日に「Developmental Cell」に掲載される。

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