大阪市立大、アルツハイマー病の新しい治療薬となる抗体を開発

2015年1月10日 14:59

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アルツハイマー病病理の出現時期を示す図。老人斑はアルツハイマー病発症の20年以上も前から形成され始める。MCI:軽度認知障害、AD:アルツハイマー病(大阪市立大学の発表資料より)

アルツハイマー病病理の出現時期を示す図。老人斑はアルツハイマー病発症の20年以上も前から形成され始める。MCI:軽度認知障害、AD:アルツハイマー病(大阪市立大学の発表資料より)[写真拡大]

 大阪市立大学は9日、同大医学研究科 脳神経科学の富山貴美(とみやまたかみ)准教授らのグループが、アルツハイマー病の新しい治療薬となる抗体を開発したと発表した。

 アルツハイマー病の脳には、アミロイドβというペプチドが細胞外にたまってできる「老人斑」と、タウというタンパク質が過剰にリン酸化され細胞内にたまってできる「神経原線維変化」という2つの病理変化が現れる。これまでは主にアミロイドβを標的とする薬が開発されてきたが、臨床試験で有効性が確認されたものはまだないという。

 今回の研究は、過剰にリン酸化されたタウに結合し、これを除去する新しい抗体を開発したというもの。アルツハイマー病の治療は今後、アミロイドβを標的とする薬とタウを標的とする薬の併用療法が主流になってくると考えられており、今回開発された抗体は、タウを標的とする薬の有力なプロトタイプになると期待されているという。

 この研究の成果は、日本時間の9日(金)午後3時に、米国神経学協会のオープンアクセスジャーナル Annals of Clinical and Translational Neurology にオンライン掲載された。(記事:町田光・記事一覧を見る

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