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核融研と九大、プラズマ流をせき止める機構を発見 核融合研究の進展に期待
入れ子状の磁気面が形成されている時にはプラズマ中心部付近に大きな流れが形成され、端に向かって流れの大きな勾配をもっている(左図)。しかし、 磁気面が壊れてストキャスティック化を起こした後では、プラズマ中心部の大きな流れは止まってしまい、流れの勾配もなくなってしまう(右図)(核融合科学研究所の発表資料より)[写真拡大]
自然科学研究機構核融合科学研究所と九州大学は8日、大型ヘリカル装置(LHD)において、プラズマ流れをせき止める新たな機構を実験的に発見したと発表した。8日付けの英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載される。
核融合科学研究所の居田克巳教授らの研究グループと九州大学の稲垣滋教授は、同研究所のLHDにおいて、磁場で閉じ込められた高温プラズマ(磁場閉じ込めプラズマ)が流れる様子を観測し、プラズマを閉じ込めている磁気面の壊れ(ストキャスティック化)が流れをせき止めることを、世界で初めて観測した。核融合炉では、この磁気面の破壊を制御する必要があることがわかったという。
未来型エネルギーである核融合発電の実現を目指して、磁場で高温高密度のプラズマを閉じ込める研究が世界中で行われている。核融合炉ではプラズマ流れを強くすることが極めて重要だが、プラズマの中心温度が上がるにつれて、プラズマ中に乱れが生じてしまう。
研究グループは今回、プラズマの流れを非常に精度よく計測する分光手法を開発することでプラズマ流れの空間分布を計測。その結果、プラズマの流れがほとんど止まってしまう現象を世界で初めて観測したという。
プラズマ流れをせき止める新たな機構(ストキャスティック化)の発見は、今後の核融合研究に大いに貢献するものだという。また、この新たに発見された異常なブレーキ機構は、宇宙天体でも働いている可能性があり、今後更に広い学問的波及効果が期待されるという。(記事:町田光・記事一覧を見る)
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