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【1月3日、さくらフィナンシャルニュース=東京】
■閣議決定は1月14日
来年度予算案の編成については、27日の閣議で「2015年度予算編成の基本方針」を決定し、来年1月14日の閣議で予算案を決定する。一般会計歳出を97〜98兆円規模になるとみられている。
政府は、新規国債発行額を今年度より1.3兆円抑えて40兆円程度にする方針で、国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字を、2015年度GDP比で2010年度(6.6%)から半減させる財政健全化目標について、基本方針に「着実に達成するよう最大限努力する」と明記し、財政再建を堅持する姿勢を堅持する考えだ。
安倍総理は「社会保障関係費の自然増も含めて聖域なく見直し、歳出の徹底的な重点化・効率化に取り組んでいく」としており、概算要求(101.68兆円)を下回る水準に抑制する姿勢を強調している。
■法人実行税率引き下げの代替財源にメド
予算案の前提となる与党税制改正大綱は、30日にまとめる。
焦点となっている法人実効税率(34.62%。東京都の場合35.64%)の引き下げをめぐっては、当初、自民党税制調査会が「財源確保が原則」として引き下げそのものに消極的だったが、安倍総理の強い意向で、初年度の下げ幅を「2%台前半」とすることで調整が進められている。
政府・与党は、給与総額など企業規模に応じて課税する外形標準課税の拡充、研究開発への政策減税縮小、持ち株比率が25%未満の関連会社から受け取る株式配当の非課税制度縮小(現在の5割から2割に)などにより、代替財源にメドを付けている。
また、法人向けには、賃金を3%以上増額した企業を対象に、賃上げ分を法人事業税で非課税(2017年度までの3年間)にすることや、東京など大都市圏から地方に移転した企業を対象に、設備投資額に応じて数%の税額控除または4分の1程度の前倒し償却を受けられるようにするなどの法人税優遇制度を設けることなどが盛り込まれる方針だ。
このほか、2014年度末に期限を迎える中小企業の優遇税制を2年間延長するとともに、商業地などにかかる固定資産税(市町村税)を軽減する据え置き特例を3年間延長する。
■社会保障と税の共通番号を2018年から適用方針
個人向けには、消費税率10%への再引き上げが延期されたことを受けた措置として2017年末までとなっている住宅ローン減税の適用期限を1年半延長するとともに、今年末に期限を迎える住宅資金の贈与税の非課税枠を、延長のうえ2016年10月に3000万円へ拡大する方向で検討されている。
また、2017年末までの3年間、祖子や孫への結婚・出産・子育ての費用の贈与(1人あたり1000万円まで)が非課税となる制度を2015年度に導入するほか、住宅資金や教育資金の贈与に対する非課税措置の延長などが盛り込まれる予定だ。
このほか、脱税や生活保護の不正受給などを防ぐねらいから、社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を、2018年から金融機関の預金口座に適用する方向で検討されている。政府・与党は、与党税制改正大綱に盛り込み、来年の通常国会へのマイナンバー法改正案提出をめざしているという。【了】
黒澤善行(くろさわよしゆき)/愛知県春日井市生まれ。立命館大学政策科学部卒業、立命館大学政策科学研究科博士前期課程修了。毎日新聞社「週刊エコノミスト」記者、衆議院議員政策スタッフ、シンクタンク2005・日本(自民党系)研究員などを経て、従来の霞が関の機能を代替できる政策コンサル産業の成立を目指す株式会社政策工房の主任研究員に就任。主著に『できる総理大臣のつくり方』(春日出版、共編著)、『ニッポンの変え方おしえます―はじめての立法レッスン』(春秋社)がある。政策工房Public Policy Review(http://seisaku-koubou.blog.jp)より、著者の許可を得て転載
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※この記事はSakura Financial Newsより提供を受けて配信しています。
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