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東大、極低電圧での動作が可能なトランジスターを開発
今回実現したトンネルFETのデバイス構造を示す図(東京大学の発表資料より)[写真拡大]
東京大学の高木信一教授らによる研究グループは、極低電圧での動作が可能な新しい構造のトンネル電界効果トランジスターを開発した。
IT機器が消費する電力は近年急激に増加しているが、これまでのMOSトランジスターでは、論理演算における信号のオン状態とオフ状態の電流を、わずかな電圧変化で切り替えることが原理的にできない。そこで、トンネル電流を利用した新しいトランジスター(トンネルFET)が近年注目されている。しかし、このトランジスターには、オン電流とオフ電流の差を大きくとることができない、短期間での実用化が困難といった問題がある。
今回の研究では、従来からMOSトランジスターのチャネルとして用いられているSiに、引張り応力を加えたひずみSiとGeのヘテロ界面を用い、トンネリングを起こすソース領域を高濃度のGe、チャネル材料をひずみSiとする新しいトランジスターを開発した。その結果、主流で用いられている横型構造で、さらに現在の集積回路プロセスに馴染みやすい材料を用いながらも、極めて薄いエネルギー障壁幅を形成することに成功し、わずかな電圧変化で急激に電流を切り替えることと、大きなオン電流とオフ電流の比を得ることの両方を同時に実現した。
今後は、トンネルトランジスターの実用化によって、これまでの半導体集積回路技術では実現できなかった新たな応用分野や市場が出現し、応用領域がより一層広がっていくことが期待される。
なお、この内容は12月14日に「Technical Digest」に掲載された。
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