就職活動の時期を遅らせることに意味があるのか

2014年12月15日 01:00

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記事提供元:エコノミックニュース

 2016年度の新卒採用から、就職活動の時期が繰り下げになった。15年度までは、大学3年生の12月1日に採用広報活動が開始され、大学4年生の4月1日に採用選考活動が行われていた。しかし、16年度からは、採用広報活動のスタートが大学3年生の3月1日、選考活動スタートが大学4年生の8月1日となる。就職活動の時期の繰り下げの理由は、学生が就職活動により学業に集中できなくなることを防止するためだ。

 しかし、就職活動時期の繰り下げが本当に学業への集中を促進するのか。就職活動期間が短くなればその期間は就職活動以外のことはできなくなる。日本中の大学三年生が約1年後の社会的地位のために一斉に就職活動をするシステム自体が、学生の学業への集中を妨げているのではないか。

 また、10月29日に厚生労働省が発表した調査では、日本の入社3年以内の離職率は大卒で31%、短大卒39.9%、高卒で39.2% 、中卒で62.1%で、大卒の3年以内の離職率は前年より2.2%も悪化している。学業を犠牲にして決められた就職活動時期に就職活動に奮闘しても、自分の希望していた仕事を出来ていない人が多いという現実は、重く受け止められるべきである。

 離職率が下がらない原因の一つとして、企業は、一斉に多人数の採用活動をするため入社後まで内定者の所属を決めることができず、内定者が入社後希望していた部署と異なる部署に配属されていることも考えられる。

 就職活動の時期が決まっていて大学生が一斉に就職活動をするシステムは世界中で採用されているわけではない。米国では終身雇用制度がなく、毎年どの時期に何人やめるかという予測がつかないため、ポジションが空くたびにその都度募集し、採用する。そのため、就職活動時期も人それぞれであるし、ポジションごとの採用だから、入社した後に希望しない部署への所属が決まることもない。

 離職率が下がらない理由に、一定時期に一斉採用をして、採用決定後にポジションを決めるという制度上の欠陥があるのだとしたら、就職活動の時期を決めるということ自体を再考すべきである。(編集:久保田雄城)

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