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細胞治療法による心機能の長期追跡調査結果を示す図。細胞移植併用群(右)は標準外科手術単独群(左)に比べ、移植後3~18ヶ月目(横軸)まで長期的に良好な心室駆出率(縦軸)を示した(岡山大学の発表資料より)[写真拡大]
岡山大学の王英正教授らによる研究グループは、左心低形成症候群に対する心臓内幹細胞自家移植療法の第1相臨床研究を実施し、冠動脈注入法による幹細胞移植法の安全性と心不全治療における有効性を確認した。
左心低形成症候群は、左心室が異常に小さい単心室症の一つで、重度の場合は「心臓移植」しか治療法がなくなる場合も少なくない。しかし、日本では小児の脳死ドナー(臓器提供者)の数が少ないという課題がある。
今回の研究では、2011年1月~2012年1月まで合計14症例の左心低形成症候群に対して、標準外科手術+細胞治療群(7人)と標準外科手術単独群(7人)に分けて第1相臨床研究を行った。なお、細胞治療法では、心臓組織約100ミリグラムを採取し、幹細胞を抽出して10日間培養した後に、冠動脈へカテーテルで注入した。その結果、細胞移植を行った7症例では、外科治療単独群に比べて、心臓の機能が8%以上有意に改善していることが分かった。なお、安全性に関しては、細胞移植時における急性虚血や致死的不整脈の惹起作用、そして移植した細胞によるアレルギー反応や造腫瘍作用は起きなかった。
今後は、本治療法の標準医療化に向けて2015年以降に企業主導臨床治験を実施する予定となっており、先天性心疾患患者の心機能を向上させ、心不全を繰り返すことなく過ごすことができる治療法の確立が期待されている。
なお、この内容は「Circulation Research」に掲載された。
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