慶應大、電子スピンを利用したデバイスの実現に繋がるスピン流の増大原理を解明

2014年12月12日 14:33

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スピン流とスピンの波(マグノン)の模式図(慶應義塾大学の発表資料より)

スピン流とスピンの波(マグノン)の模式図(慶應義塾大学の発表資料より)[写真拡大]

 慶應義塾大学の安藤和也専任講師らによる研究グループは、磁気の流れ「スピン流」の増大原理を世界で初めて明らかにした。

 電子は、電気と磁気の性質を併せ持っているが、これまでの電子機器は電気の流れである「電流」のみを利用してきた。しかし、磁気の流れ「スピン流」を利用すれば、これまでの電子技術の限界を突破する新しい原理を生み出すことができると考えられている。

 今回の研究では、絶縁体である磁性ガーネット薄膜の高品質表面に白金薄膜を成膜し、絶縁体から流れ出す「スピン流」と、スピンの波「マグノン」の寿命を同時に精密測定した。その結果、寿命の長いマグノンを作り出すことで白金に流れ出しているスピン流も増大することが分かった。

 今後は、スピン流利用技術の拡充により、従来の素子が抱えていた発熱によるエネルギーロスの問題を根本的に解決した新しい時代の電子技術と省エネルギー社会の実現に大きく貢献することが期待される。

 なお、この内容は12月9日に「Nature Communications」に掲載された。

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